- 役員等の変更届って、取締役だけを注意すればよいよね
- 5%以上の株主も役員等に含まれるって、本当なの・・・
- 5%以上の株主に関する変更届って、どうすればよいの・・・
建設業の許可業者様に限らず、事業者様は、さまざまな事業環境の変化に応じて事業者様自身の体制を変化させて行きます。
従って、建設業の許可業者様の場合、建設業許可に関する変更事項も当然に発生することになります。
例えば、「人」に関することであれば、常勤役員等(経営業務の管理責任者等)や専任技術者(専技)の交代を挙げられます。
「物」に関することであれば、本社や支社の営業所の設置や廃止を挙げることができます。
「お金」に関することであれば、資本金の増資や減資を挙げることができます。
これらの変更は、全て建設業許可における変更事項となっており、建設業の許可業者様は、一定の期間内に許可行政庁への変更届の提出を求められます。
これらを忘れてしまった場合、最悪、建設業の許可業者様は許可を更新できなくなる可能性もあります。
うっかり忘れる変更届(株主等の就退任)
「そんなことわかっているよ」という建設業の許可業者様の声が聴こえてきます。
本当にそうでしょうか。
弊事務所にご相談いただいた建設業の許可業者様の中には、建設業許可の更新申請の直前に必要な変更届を提出していないことがわかり、大慌てで変更届を作成しなければならない方もいらっしゃいます。
本記事では、建設業の許可業者様の見落としがちな変更事項について詳しくご説明したいと思っています。
通常は余り問題にならないのですが、その見落としがちな変更事項は役員等の就退任の中に潜んでいます。
5%以上の株主に関する変更届
これについても「取締役の就退任は届けているよ」という建設業の許可業者様の声が聴こえてきそうです。
いやいや、実はそこに落とし穴があるのです。
建設業許可の役員等には、取締役以外の身分の方についても含まれています。
例えば、相談役や顧問も建設業の許可業者様の役員等に含まれています、
株主も役員等に含まれる可能性があります。
注意すべきは株主の全員が役員等に含まれるわけではないということです。
ここでいう株主は、保有している株式や出資額が5%以上の株主のことを意味しています。
そのため、建設業の許可業者様の中には、5%以上の株主に変更があっても、他の少数株主と同じように扱ってしまい、うっかりと見落としてしまう方もいらっしゃるのです。
更に、5%以上の株主には5%以上の株式を持たれている取締役は含みません。
なぜなら、この株主については、取締役の身分で役員等として届け出ることになっているからです。
従って、問題となるのは、純粋に株主として5%以上の株式を持たれている方や5%以上出資されている方のみとなります。
建設業の許可業者様の中で、特に同族会社の場合、役員等(5%以上の株主の就退任)の変更届の提出をお忘れのケースが多いと思われます。
5%以上の株主の関する変更届の様式等
「では具体的にどうすればよいの」という建設業の許可業者様の声が再び聴こえてきそうです。
ここから、5%以上の株主に関する変更届の詳細についてご説明いたします。
先ずは、新たに5%以上の株主になられたケースについてです。
ここでは株主の就任と言います。
5%以上の株主の就任についての変更届の様式等は、基本的には取締役の就任の変更届の様式等と同じになります。
<5%以上株主の就任の場合>
- 二十二号の二変更届出書(第一面)
- 別紙一役員等の一覧表
- 六号誓約書
- 十二号許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
このケースでは「二十二号の二変更届出書(第一面)」「別紙一役員等の一覧表」「六号誓約書」「十二号許可申請者の住所、生年月日等に関する調書」を用意することになります。
ただし、取締役の就任の変更届とは異なって、法人の「履歴事項全部証明書」株主の「登記されていないことの証明書」と「身分証明書」は必要ありません。
東京都の場合「役員等氏名一覧表」も確認資料として提出することになります。
次に、5%以上の株主が株式の譲渡等で株式を失ったケースについてです。
ここでは株主の退任と言います。
5%以上の株主の退任についての変更届の様式等も基本的には取締役の退任の変更届の様式等と同じになります。
<5%以上株主の退任>
- 二十二号の二変更届出書(第一面)
- 別紙一役員等の一覧表
このケースでは「二十二号の二変更届出書(第一面)」「別紙一役員等の一覧表」を準備することになります。
ただし、ここでも取締役の退任の変更届とは異なって、法人の「履歴事項全部証明書」は必要ありません。
(タイトル)うっかり忘れる変更届(株主の就退任)(まとめ)
本記事では、建設業の許可業者様がうっかりと忘れてしまう変更届として5%以上の株主の就退任の変更届について詳細をご説明してまいりました。
役員等の変更でも、常勤役員等(経営業務の管理責任者等)や専任技術者(専技)に関係する取締役についての変更届については、十分気をつけられていることと思います。
建設業の許可業者様にとって、常勤役員等(経営業務の管理責任者等)や専任技術者(専技)の交代は、建設業許可の許可要件に直接関係する変更事項なので当然のことと言えます。
その一方で、建設業の許可業者様にとって、建設業許可の許可要件に直接関係しない変更事項については、うっかりと忘れられてしまうこともあるようです。
代表例のひとつが、本記事でご説明した役員等の変更届の中の5%以上の株主の就退任の変更届となります。
建設業の許可業者様は、くれぐれも5%以上の株主の就退任の変更届の提出をお忘れにならないよう十分注意してください。
弊事務所では、建設業許可に係る申請書や変更届の作成・提出代行に力を入れております。
建設業許可の係る申請書や変更届の作成・提出でお悩みの建設会社様は、弊事務所までお気軽にご相談ください。