特定建設業の許可要件について

  • 特定建設業の許可を取得しないといけないのはどのような場合ですか
  • 大きな金額の工事を受注するには、特定建設業許可を必要としますか・・・
  • 元請業者の場合、必ず特定建設業の許可を取らないといけませんか・・・
  • 一次下請業者でも、大きな金額の工事を二次下請業者に出す場合、特定建設業の許可を取らないといけませんか・・・

特定建設業の許可要件について

建設業許可は、一般建設業と特定建設業の2つの許可に分けられています(建設業法第3条1項)。

どうして、建設業許可を2つに区分する必要があるのでしょうか、その理由はなんでしょうか。

建設工事は、一般的にはそれぞれ独立した各種の専門工事の総合的な組み合わせによって構成され、施工されています。

そのため、建設業は、他の産業にはみられない下請重層構造になっています。

特定建設業制度の目的

従って、建設工事の適正な施工を確保するためには、建設工事の下請重層構造に組み込まれている下請業者の体質を強化して、その経営の安定をはかることが重要になります。

そのため、建設業法では、特定建設業という特別の許可制度を設けることで下請業者の保護の徹底化を図っているのです。

では、どのような場合に特定建設業の許可を必要とするのか、また、特定建設業の許可を取得する要件はどのようになっているのか、その概略を見て行きましょう。

下請契約金額の制限について

特定建設業の許可の取得の対象となる建設業者様は、主に、建築一式工事や土木一式工事といった一式工事を営む事業者様が多いと思われます。

ただ、それ以外の事業者様でも発注者から直接建設工事を請け負う場合には、その施工体制によって特定建設業の許可を必要とするケースがでてきます。

具体的には、発注者から直接請け負う1件の建設工事について、総額4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)の工事を下請け施工しようとする場合には、特定建設業の許可を取得する必要があります。

ここで重要なことは、特定建設業の許可は、その制度の目的が下請業者の保護にあるため、対象となるのはあくまで元請業者から下請業者への発注金額であるという点です。

つまり、発注者から直接請け負う1件の工事請負金額そのものについては、一般建設業でも特定建設業でも制限はありません。

と言うことは、仮に一般建設業であっても、請け負った工事を全て自社施工するか、総額4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)未満の工事を下請業者に施工させる限りは、その請負金額には全く制限は出てきません。

また、下請契約の金額が制限されるのは、元請業者だけであり、一次下請業者と二次下請業者との下請契約には何ら金額の制限はありません。

  • 特定建設業許可における指導的実務経験って何ですか・・・
  • 建築一式工事は、実務経験では特定建設業を取得できないのですか・・・
  • 特定建設業の場合、専任技術者は国家資格者でないといけませんか・・・

専任技術者の要件について

特定建設業の許可は、専任技術者の要件も一般建設業の専任技術者の要件より格段に難しくなっています。

と言うのは、特定建設業の専任技術者は、一般建設業の専任技術者の要件(例えば、国家資格者や10年実務経験等)を満たした上で、更に要件を加重されているからです。

具体的には、「指導的監督実務経験」と言う要件を充たす必要があります。

この「指導的監督実務経験」とは、建設工事の設計又は施工の全般について、元請として工事現場主任又は工事現場監督のような資格で工事の技術面を総合的に指導した経験を言っています。

そして「指導的監督実務経験」の対象となる工事の規模は、現在では1件の工事金額が4千5百万円以上(消費税を含む)の工事で、経験の期間も2年以上となっています。

更に、土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業の7業種については、施工技術の総合性等を考慮して特別に「指定建設業」と定められています。

この7業種について特定建設業の許可を受ける場合の専任技術者は、一級の国家資格者、技術士の資格者又は国土交通大臣が認定した者のみとなっております。

従って、例えば、建築一式工事の場合、実務経験のみでは特定建設業の許可を取得することはできません。

  • 特定建設業許可の財産的要件って良くわからない・・・
  • 特定建設業の財産的要件の適合性は、いつを基準にするのですか・・・
  • 許可取得後の最初の決算で、特定建設業の財産的要件を欠いたら、その時に許可を失ってしまうの・・・

財産的基礎の要件について

建設業許可を取得するためには、さまざまな厳しい要件を全てクリアーしている必要があります。

そして、その要件をクリアーした建設業者様だけが建設業許可を取得でき、許可業者として対外的に大きな信用を得ることができます。

この信用を担保する要素のひとつに、財産的基礎の要件をあげることができます。

一般建設業の場合には、新規申請の際に、500万円以上の自己資本か資金調達能力の有無を審査されています。

これに対し、特定建設業の許可は、一般建設業とは異なり、更に厳しくその財産的基礎を審査されています。

なぜなら、特定建設業の許可を申請する者は、発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が8千万円以上のものを履行できる財産的基礎を有する必要があるからです。

具体的には、許可申請の直前の決算において、次の4つの基準を全て満たしていることを求められています。

  1. 欠損(※1)が資本金の額の20%を超えていないこと
  2. 流動比率(※2)が75%以上であること
  3. 資本金の額(※3)が2,000万円以上であること
  4. 自己資本の額(※4)が4,000万円以上であること

※1 法人では貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合で、その額は資本剰余金、利益準備金、その他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く)の合計額を上回る額。個人では事業主損失が事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保金の引当金及び準備金の額を加えた額。

※2 流動比率とは、流動資産÷流動負債の結果を百分率であらわしたもの。

※3 株式会社では払込資本、特例有限会社では資本総額、合資会社・合名会社等では出資金額、個人では期首資本金。

※4 法人では貸借対照表の純資産合計の額。個人では期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保金の引当金及び準備金を加えた額。

財産的基礎の基準に適合しているかの判断は、原則として、既存の企業では申請時の直前の決算期による財務諸表によって、新規設立の企業では創業時における財務諸表によって判断されます。

ただし、資本金の額についてのみ、上記の財務諸表で資本金の額に関する基準を満たしていなかったとしても、許可申請までに増資を行うことで基準を満たせる場合には、資本金の基準を満たしているものとして扱われます。

尚、既に特定建設業の許可を取得している建設業者様については、財務的基礎の適合性は更新や業種追加を申請する際に判断されることになります。

従って、新規申請後から更新までの間の途中の期における財産的要件の欠格によって直ちに特定建設業の許可を失うことにはなりません(ただし、更新前の決算はとても重要です)。

特定建設業の許可要件(まとめ)

ここまで、特定建設業の許可について、許可を必要とする場合や要件について、その概略をご説明してきました。

どうです、特定建設業制度の概要はお分かりいただけましたか。

ポントとなる項目をあげておきますので、内容を思い出せない場合には該当箇所を再度ご確認ください。

<特定建設業の許可ポント>

  1. 下請契約金額の制限(元請業者のみ)
  2. 専任技術者の厳しい要件
  3. 財産的基礎の厳しい要件

特定建設業の許可の要件はとても厳しいので、その申請は建設業者様の事業方針に本当にあっているのか、しっかりと検討する必要があります。

その際、次のような疑問もお持ちになるかと思います。

  • 同一業種でも、特定建設業と一般建設業の両方の許可を受けられるの・・・
  • 下請業者への発注金額には、元請業者から下請業者に提供する資材の価格も含まれてしまうの・・・
  • 特定建設業許可を取得すれば、工事を下請業者に一括下請できるの・・・

弊事務所は、建設業許可に関する各種申請や変更届等のお手続きについて、お忙しい建設者様の変わって代行申請しております。

弊事務所では、特定建設業の許可を取得したいとお考えの建設業者様からのご相談を積極的にお受けしております。

お気軽に、お電話・メールでお問い合わせください。

貴社への出張相談は、初回無料にて承っております。お電話とメール、ご都合のよい方法でご連絡ください。(ご来所での相談をご希望の方も、予めお電話・メールでご予約ください)

電話でご予約(または電話相談をご希望の方)
メールでご予約(またはメール相談をご希望の方)

メールで出張相談をご予約の際は、場所や希望日時(第2希望まで)の情報を添えてお送りください。

メール相談をご希望の方は、下記フォームよりご質問内容を送信ください。24時間承っておりますが、返信にお時間を頂戴する場合がございます。お急ぎの方は電話相談をご活用ください。

    お名前 (必須)

    メールアドレス (必須)

    電話番号(必須)

    ご希望の連絡先(必須)

    お電話にご連絡メールにご返信どちらでも可

    メッセージ本文

    スマートフォンで見る

    スマホからも同じ情報を閲覧できます。

    ページトップへ戻る