本当は怖い建築一式工事の工事経歴書

  • 工事経歴書に載せる工事の工事業種は、厳密に分けないと駄目なの
  • 増改築でも注文書に建築工事とあれば、全て建築一式工事になるの・・・
  • 建築一式工事は、建築確認を必要とする工事だけに限定されるの・・・

建設業許可をお持ちの建設業者様は、毎年、許可行政庁に対して決算変更届を提出しなければなりません。

この決算変更届は、許可行政庁によっては事業年度終了報告書と言っています。

決算変更届(事業年度終了報告書)では、いろいろな法定様式の書類や添付書類を用いて、対象事業年度の実績や工事完成高を報告していきます。

決算変更届(事業年度終了報告書)の工事経歴書

その中には、対象事業年度の工事実績を記載した工事経歴書も含まれています。

この工事経歴書は、対象の事業年度に完成した建設工事を請負代金の大きい順に10件程度記載していきます。

複数の工事業種について建設業許可を受けている場合は、その工事業種ごとに工事実績を工事経歴書に記載します。

例えば、建築一式工事と内装仕上工事の許可を受けている建設業者様は、それぞれ10件程度、合計20件程度の工事を記載することになります。

なお、経営事項審査(経審)を受審する場合、請負代金の大きい順に工事実績を記載していくわけではありません。

今回の記事では、経営事項審査(経審)受審用の工事経歴書についてはご説明はいたしません。

今回は、決算変更届(事業年度終了報告書)の工事経歴書に潜む恐ろしい落とし穴についてご説明いたします。

特に、建築一式工事では、工事経歴書の工事業種に対するちょっとした勘違いによって、後日、建設業許可を失いかねない大きな問題になることもあります。

建築一式工事の許可業者様は、注意して記事をお読みください。

建築一式工事と専門工事の業種区別の難しさ

建築一式工事の許可業者様の中には、許可の取得時に比べて、決算変更届(事業年度終了報告書)の工事経歴書に記載する工事について、工事業種を厳密にわけることなく記載される方がいらっしゃいます。

確かに、最近の建築工事の傾向として、増改築工事、リフォーム工事、リノベーション工事といった工事も増えているため、工事業種の判断がとても難しくなっていると言えます。

また、新築工事ではない大規模修繕工事の場合でも、建築一式工事と認定されることもあるため、余計に工事業種の判断はわかりにくくなっています。

事実、増改築工事等の注文書類を建設業者様に見せていただくと、「〇〇邸新築工事」「〇〇ビル建築工事」「○○丁目工事」といった工事名称になっていることもあり、建築一式工事と思う方がいらしても仕方ないかもしれません。

特に、建築一式工事の許可をお持ちの工務店様の中には、それら増改築等の専門工事を全て建築一式工事の工事実績としてしまい、そのまま建築一式工事として工事経歴書に記載して、報告してしまう例もあるようです。

ただ、建設業法上の建築一式工事は、原則、建築確認を必要とする建築物を建設する工事となっています。

従って、注文書類の工事名称だけで建築一式工事であると判断してしまうと間違った工事経歴書を作成することになってしまいます。

本当は怖い建築一式工事の工事経歴書

恐ろしい話はここからになります。

一見、建築一式工事だと思える工事名称で、工事経歴書を作成しているため、毎年の決算変更届(事業年度終了報告書)において許可行政庁より補正の指示を受けず、そのまま受け付けられてしまうことがあります。

と言うのも、決算変更届(事業年度終了報告書)は、建設業許可の新規申請や経営事項審査申請(経審)の手続とは異なり、注文書等での確認は余り行われないからと思われます。

許可行政庁が決算変更届(事業年度終了報告書)の提出時に補正要求をせず、決算変更届(事業年度終了報告書)を受け付けているのだから、良いのではないかと思う建設業者様がいらっしゃるかもしれません。

いいえ、決算変更届(事業年度終了報告書)の提出時に、許可行政庁より間違いを指摘され、その際に適正な工事業種に補正した方が後々のために良いと言えます。

なぜなら、決算変更届(事業年度終了報告書)の提出時に問題がなくとも、後になって、工事経歴書の工事業種等の間違いが発覚した場合、建築一式工事の許可存続に影響を及ぼす大きな問題となりかねないからです。

建築一式工事の工事経歴書の整合性チェック

許可行政庁によっては、新たに何らかの申請や届出を受けた際に、過去の申請や届出の記載を再度確認し、現在と過去の申請や届出との整合性に齟齬がないか厳しくチェックすることがあります。

過去の決算変更届(事業年度終了報告書)の工事経歴書についても、当然、整合性チェックの対象となります。

数年前の決算変更届(事業年度終了報告書)の提出時に、工事経歴書が問題にならなかったからと言って、今日、工事経歴書が問題にならないとは限らないのです。

注意したいのは、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))の経営経験や専任技術者(専技)の実務経験の証明を必要とする申請や届出を行う場合です。

過去の工事経歴書の工事業種に問題があると、その工事が工事実績から除外されてしまい、実務経験を証明できる期間が短くなってしまうこともあります。

常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))の経営経験や専任技術者(専技)の実務経験の期間に余裕のある申請・届出であれば、少しぐらいの工事実績の除外は余り大きな問題にならないかもしれません。

ただ、ぎりぎりの経営経験や実務経験の期間で何らかの申請や届出を提出していた場合は、建築一式工事の許可要件を満たさなくなる可能性もあるのです。

最悪、建築一式工事の建設業を廃業しなければならないこともあり得るのです。

建築一式工事は、建築確認を必要とする建築物の建設工事のことを言います。

決算変更届(事業年度終了報告書)の工事経歴書を作成する際には、工事経歴書に記載する工事が許可業種に本当に該当するのかしっかりと確認しておくことがとても重要となります。

専門工事を建築一式工事と誤解したままの工事経歴書では、建築一式工事の実績はほとんどなし、実務経験もほとんどなしと言う深刻な事態となりかねないのです。

建設業法及び建設業法施行規則の改正(令和2年10月1日)

令和2年10月1日に、建設業法及び建設業法施行規則等が改正され、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))に関する要件が大きく変更されています。

変更点の一つとして、「許可を受けようとする建設業」と「許可を受けようとする建設業以外の建設業」の違いによって設けられていた常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))としての経験年数について、その差がなくされています。

具体的には、「建設業に関して5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者(イ(1)該当)」と改正されています。

従いまして、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))ついては工事業種については余り神経質になる必要はなくなっていると言えます。

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