- 外国の現地法人での役員経験も経営業務の管理責任者として認められますか
- 「国土交通省が別個の申請に基づき認めた者」とは全ての外国人が対象となるのですか・・・
- 就労ビザの資格で日本に滞在する外国人は経営業務の管理責任者や専任技術者になれますか・・・
建設業許可を取得するには、「経営業務の管理責任者(経管)が常勤でいること」や「専任技術者(専技)を営業所ごとに常勤で置いていること」等の要件を備えていなければなりません。
このことは、法人であっても個人であっても、また、外国法人であっても外国人であっても変わりません。
では、外国の現地法人で役員を務めた経験も日本国内の法人で役員を務めた経験と同じように経営業務の管理責任者(経管)の経験として認められるのでしょうか。
また、建設業許可の手続きや要件の適合性の確認資料も日本国内での経験と全く同じ手続きや確認資料となるのでしょうか。
国土交通大臣が別個の申請に基づき認めた者(大臣特認)
これらの疑問については、建設業法の規定の中に、答えのヒントがございます。
例えば、経営業務の管理責任者(経管)については、建設業法第7条第1号ロ(特定建設業は同法15条第1号)に「国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者」という規定があります。
この規定は、一般的ではない極めて特殊な場合を想定しており、個別の申請に基づき国土交通大臣が認定する途を開くものです。
また、専任技術者(専技)についても、建設業法第7条第2号ハ(特定建設業は同法15条第2号ハ)に「国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者」と規定されております。
この規定も、一般的に認定した資格や経験以外にも、極めて特殊なものとして同等程度の資格があることを想定した規定であり、個別の申請に基づき国土交通大臣が認定する余地を認めています。
つまり、前述の外国の現地法人での役員経験を経営業務の管理責任者としての経験にできるかについては、「国土交通大臣が別個の申請に基づき認めた者」として認定されるかに掛かっています。
これを、一般に大臣特認といっております。
では、この大臣特認とはどのようなものなのでしょうか。
大臣特認の対象
「国土交通大臣が別個の申請に基づき認めた者」、つまり、「大臣特認」で注意すべきことは、外国人であること自体がその対象はないということです。
大臣特認は、建設業許可取得の根拠となる学歴、資格、実務経験(職務経験)等を外国において取得している場合が対象となっています。
そして、その取得した学歴、資格、実務経験(職務経験)等が日本における学歴、資格、実務経験(職務経験)等と同等であるとの検証を必要とするケースに限られています。
従って、外国人であっても日本の大学を卒業している等の場合は対象外であり、日本人であっても外国の学校を卒業していたり、外国企業で役員をしていたりした場合は対象となります。
そして、この大臣特認を得るためには、建設業許可申請とは別個に国土交通省に申請書を提出する必要があります。
大臣特認の申請に必要となる主な書類(代表的な書類)
大臣特認を申請する際に必要となる主な書類は、概ね次の通りとなります。
<経営業務の管理責任者>
- 認定申請書
- 申請者の略歴書
- 経営業務管理責任者証明書
- 上記を証明するもの(登記簿謄本・組織図等)
- 会社案内(パンフレット)
<専任技術者(一般建設業の専任技術者の場合)>
- 認定申請書
- 申請者の略歴書
- 最終学歴についての卒業証明書
- 実務経験証明書(建設業法施行規則様式第9号)
- 上記に記載した実務経験を積んだ工事契約書の写し又は発注者による証明書(外国語のものは和訳及び公証等の証明を添付のこと)
- 会社案内(パンフレット)
但し、大臣特認の申請はあくまでも個別申請となるので、実際に申請する場合には、国土交通省総合政策局建設業課に詳細を事前確認しておく必要があります。
建設業許可の大臣特認のまとめ
外国でのご経験や学歴、資格等を国土交通大臣に認定(大臣特認)してもらうことで、日本の建設業許可における経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者(専技)としての経験に認めてもらうことができます。
もちろん、ご説明してきた通り、建設業許可申請とは別の個別申請を行う必要はありますが、これまで日本国内での経験や資格が足らないと建設業許可申請を諦めてきた方も、もう一度ご自身のご経歴を振り返られてはどうでしょうか。
弊事務所では、経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者(専技)の要件の適合性についてお困りの方からのご相談を積極的にお受けしております。
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