- 許可行政庁が、営業所に立入検査をしてくるのはどういうケースなの
- 本店の立入検査を受けると、他の営業所も立入検査を受けるの・・・
- 許可行政庁の立ち入りを受けるのは、許可業者のみだよね・・・
建設業法第31条※は、国土交通大臣や都道府県知事の建設業を営む者に対する報告徴収、職員の営業所等に対する立入検査について規定しています。
行政庁に報告徴収権や立入検査権を与えている理由は、行政庁がその権限を的確に行使して、建設工事の適正な施工の確保と発注者の保護を実現するためとなっています。
従って、報告徴収や立入検査を行なえるのは、行政庁が建設工事の適正な施工の確保と発注者の保護の達成という目的のために、その権限を行使する上で「特に必要があると認めるとき」に限定されています。
行政庁の報告徴収及び立入検査
例えば、建設業法第3条の許可、同法第28条の指示又は営業の停止、同法第29条の許可の取消し等の処分に際し、処分の是非を判断する上で必要となる場合に報告徴収や立入検査をすることができると考えられています。
従って、具体的な必要性がないのにむやみに報告を求めたり、ある営業所に立入検査をしたついでに目的外の営業所に立入検査をしたりすることはできません。
建設業法第31条1項に「営業所その他の営業に関係ある場所に立ち入り」と規定されているのは、このことを明らかにしています。
また、「その他営業の関係のある場所」とは、例えば、工事現場をはじめ、資材置場、建設業法上営業所とは認められない連絡事務所、現場事務所等を含んでいると考えられています。
更に、報告徴収できる事項の範囲も本条の目的を達するために必要な業務や財産、工事施工の状況に限定されています。
従って、行政庁が立入検査できる場所や物件も必要な営業所や帳簿等に限定されており、検査の目的と関係ない書類を検査したり、営業には関係ない建設業者の住居等に立ち入ったりすることはできません。
また、報告徴収や立入検査の対象となる者は、国土交通大臣では「建設業を営むすべての者」となっています。
他方、都道府県知事では、対象者は「当該都道府県の区域内で建設業を営む者」となっています。
注意すべきことは、国土交通大臣であれ都道府県知事であれ、いずれも対象は「建設業を営む者」となっているので、建設業許可の有無にかかわらず報告徴収や立入検査の対象とされていることです。
更に、都道府県知事の場合、その都道府県の区域内で建設業許可を営む者でさえあれば、大臣許可業者や他都道府県許可業者であっても、報告徴収や立入検査の対象となっています。
※<建設業法第31条1項>
『(報告及び検査)国土交通大臣は、建設業を営む全ての者に対して、都道府県知事は、当該都道府県の区域内で建設業を営む者に対して、特に必要があると認めるときは、その業務、財産若しくは工事施工の状況につき、必要な報告を徴収し、又は当該職員をして営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる』
建設業許可申請時の営業所調査
ところで、建設業法は第3条で建設業を営もうとする者は許可を受けることを、更に、第5条及び第17条で許可を受けるようとする者は国土交通大臣又は都道府県知事に許可申請書を提出することを義務付けています。
従って、許可行政庁は、建設業許可申請書が提出されたときには建設業法第7条・第8条の許可基準について審査することになります。
この審査には、必要に応じて営業所に立ち入りその実態を調査することも含まれています。
営業所調査は、建設業許可を認めるか否かを判断する上で、とても重要な権限となっています。
尚、建設業許可を受けるための要件について疑義のある場合の営業所調査の代表的な例として、次の事例を挙げることができます。
<営業所調査の代表事例>
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管)等)の常勤性の有無
- 専任技術者の専任性(専技)の有無
- 営業所の実態の有無
報告及び検査(営業所調査)について(まとめ)
最近の傾向として、国土交通省の立入検査については、元下関係の取引適正化等を目的とした立入検査が積極的に実施されています。
また、都道府県の立入検査についても、建設業許可申請や経営事項審査の適正化を目的とした立入検査が行われています。
立入検査等によって建設業法違反が発覚した場合、監督処分等を受け、最悪、許可の取消しとなってしまう場合もあります。
建設業者様においても、建設業法の理解をより深めていただき、必要となる手続や書類、施工体制等の整備を行っていただきたいと考えております。
弊事務所では、建設業許可申請を通して、建設業者様のコンプライアンス向上に貢献いたします。
建設業許可に関する申請書や変更届でお困りの建設業者様は、お気軽にご相談ください。