株主の急逝、迫る許可期限、手続きはどうなるの(東京都の場合)

  • 5%以上株主が急に亡くなった
  • 建設業許可の有効期限が迫っている・・・
  • 役員等の変更届と建設業許可の更新申請はどうなるの・・・

株主の急逝、迫る許可期限、手続はどうなるの(東京都の場合)

東京都の建設業許可をお持ちの建設業者様は、建設業許可の取得後に一定の変更事項のある場合、変更届を提出しなければなりません。

そして建設業許可の更新を行う際には、建設業許可の取得後に発生した全ての変更事項について変更届を提出しておく必要もあります。

この変更事項の中には、当然、役員等の変更も含まれています。

ところで、この役員等の範囲は、主に取締役を意味していますが、建設業許可の場合には、5%以上株主も含まれています。

従って、取締役の就任・辞任・退任と同様に、5%以上株主についても就任・削除といった変更届の提出を行うことになります。

もしろん、5%以上株主と取締役では確認書類や添付書類に違いはあります。

「そんなことは知っているよ」と言った建設業者様の声が聞こえてきそうです。

ただ、あるシュチエーションでは、5%以上株主についてどのような処理をすればよいのか、大変わかりにくい状況もあります。

タイトルの「株主の急逝、迫る許可期限、手続はどうなるの」が正にその状況なのです。

詳しくご説明していきます。

とある東京都の建設業許可業者様のケース(事例)

ここではとある東京都の建設業者様のケースを用いてご説明していきます。

この東京都の建設業許可をお持ちの建設業者様には、既に経営からは引退はされていますが、全株式の40%を保有されている創業者がいらっしゃいます。

全株式の40%を保有されているので、当然、5%以上株主となり、建設業許可上は、取締役と同じように申請・届出されています(取締役の登録情報等とは全く同じではありません)。

5%以上株主の急逝

この創業者である5%以上株主が突然お亡くなりになってしまいます。

通常は、この創業者である5%以上株主を(役員等から)削除する変更届と新たに株式をお受け取りになる5%以上株主を(役員等に)就任させる変更届を提出することになります。

「そんなこと当たり前じゃないか」と言った建設業者様の声が再び聞こえてきそうです。

もう少し、お話をお聴きください。

実は、この東京都の建設業許可をお持ちの建設業者様には、そう簡単ではない事情があったのです。

迫る更新申請

この建設業者様は、早々に、東京都に対して建設業許可の更新申請を行なう必要がありました。

創業者を失われたため、建設業者様は東京都の建設業許可の更新申請の準備どころではなく、気が付けば、建設業許可の期限まで数日となっておられたのです。

建設業者様は、大急ぎで建設業許可の更新申請の準備に取り掛かられますが、建設業許可更新申請において、役員等(5%以上株主)に関する書類をどのように記載したらよいのか頭を抱えることになります。

この建設業者様は何に頭を抱えられたのか、何が問題となったのかわかりますか。

少し考えてみてください。

おわかりになりましたか。

そうです、この建設業者様の建設業許可の更新申請の期限が迫るなかで、創業者の保有していた株式について相続が発生することになったのです。

創業者の法定相続人は複数人いらっしゃいます。

そのため、建設業許可の更新申請までに、相続が確定しない(=株式の相続も確定しない)という事態が起こってしまったのです。

更新申請ばかりでなく、役員等の変更届、これについても5%以上株主の削除と5%以上株主の就任があります。

5%以上株主の就任の変更届は相続が確定していないため直ちに東京都に提出できません。

他方、建設業許可の更新申請は、更新申請の前までに必要な変更届を東京都に提出しておく必要があります。

この建設業者様は、急ぎどのような手続をしなければならないのでしょうか。

役員等の変更届・建設業許可の更新申請はどうなるのか

落ち着いて一つ一つ考えていきましょう。

先ずは、5%以上株主の死亡=役員等の死亡になるので、役員等の変更届(死亡)を東京都に提出していただきます。

これについては、みなさん、大丈夫ですね。

次に、5%以上株主の就任=役員等の就任についてです。

これについては株主が決定(相続の確定)した時点で、役員等(5%以上株主)の就任の変更届を東京都に提出していただきます。

従って、この建設業者様のケースでは、建設業許可の更新申請後に役員等(5%以上株主)の就任の変更届を提出していただくことになると思います。

では、建設業許可の更新申請については、亡くなられた創業者=5%以上株主の取り扱いはどのようになるのでしょうか。

東京都の建設業許可の更新申請において、5%以上株主に関係している書面について確認していきます。

  • 役員等の一覧表(別紙1)
  • 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(12号)
  • 株主調書(14号)
  • 役員等氏名一覧(東京都独自様式)

上記4つの書面については、次のような取り扱いになります。

役員等の一覧表(別紙1)・許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(12号)・役員等氏名一覧表(東京都独自様式)には亡くなられた創業者=5%以上株主のお名前は記載しません。

創業者様=5%以上株主は亡くなられていますので、名簿や調書(12号)等に記載しないのはわかりやすいですよね。

では、株主調書(14号)についてはどうなるのでしょうか。

こちらについても、創業者=5%以上株主は亡くなられているので何も記載はしないのでしょうか。

実は、株主調書(14号)についてのみ、創業者=5%以上株主のお名前を記載した書面を作成の上、かっこ書で相続手続中と記載していただくことになります。

<事例における株主調書(14号)の処理>

  • 亡くなられた創業者=5%以上株主のお名前を記載した書面を作成の上、かっこ書で相続手続中と記載

この取り扱いについては、東京都発行の「建設業許可申請・変更の手引」にも全く記載はありませんので、ご注意願います。

株主の急逝、迫る許可期限、手続はどうなるの(東京都の場合)(まとめ)

ここまで、東京都の建設業者様で、5%以上株主が急逝され、建設業許可の許可期限が迫っている場合の手続(役員等の変更届・更新申請)について、とある事例を用いてわかりやすくご説明してきました。

該当するケースは余りないかと思いますが、建設業者様にとっては、どうすれば良いのかとても迷われるケースの一つと思います。

建設業者様は、本記事を読んでいただいて、落ち着いて必要な変更届や更新申請の対応をご検討いただければと思います。

弊事務所では、東京都の建設業許可に関する各種申請や変更届について、ご多忙な建設業者様に代わって、手続の代行を行っております。

東京都の建設業許可の各種申請や変更届でお悩みを持たれたり、ご負担に感じたりされている建設業者様、弊事務所にご相談ください。

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