- 建築一式工事の許可を取得したいけど、専任技術者ってなんのこと
- 建築一式工事の専任技術者って、誰でもなれるの・・・
- 建築一式工事を取得するには、どのような国家資格を持てば良いの・・・
建設業者様は、建設業許可を取得するためには様々な人的・組織的・物的・財産的要件を備える必要があります。
その許可要件の中に、「専任技術者を営業所ごとに常勤でおいていること」というものがあります。
この専任任技術者(専技)の要件は、人的要件の中でも最も重要な要件のひとつとなっています。
しかも、専任技術者(専技)となる適格者の選定や必要となる証明方法の判断が難しく、許可取得の肝となっています。
建築一式工事と専任技術者(国家資格による専任技術者)
事実、弊所にいただく建設業者様からのご相談も、専任技術者(専技)に関するお問い合わせが大変多くなっております。
というのも、専任技術者(専技)の適格者の選定や証明方法を間違えてしまうと、建設業許可の取得は難しくなり、断念せざるをえなくなるからです。
本記事では、建設業者様に知っておいていただきたい専任技術者制度の概要と建築一式工事に必要となる専任技術者(専技)の国家資格についてご説明いたします。
専任技術者制度の概要
そもそも専任技術者(専技)とはどのような制度なのか、建設業法を確認してみましょう。
例えば、建設業法第7条2号は、建設業許可を得ようとする営業所に、建設業の許可区分や種類に応じ、建設業の施行に関する一定の資格や経験を持つ専任技術者を設置するよう定めております。
つまり、営業所における建設工事に関する請負契約の適正な締結とその履行を確保するためには、営業所には専任技術者(専技)を必要とすると言っているのです。
少しわかりにくいですね。
ごく簡単に言えば、建設工事を正しく契約し、契約通りに工事を完成するために、営業所に技術を統括する責任者を必ず置きなさいとしているのです。
では、その技術を統括する責任者には、誰でもなれるのでしょうか、それとも何か資格や経験等を必要とするのでしょうか。
先程の建設業法第7条2号では、「建設業の許可区分に応じて、建設業の施工に関する一定の資格や経験を持つ」としています。
そうです、専任技術者(専技)になるためには、許可に関わる建設業について施工に関する資格や経験を必要としているのです。
では、その許可に関わる建設業の施工に関する資格や経験とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
※専任技術者の専任の意味
専任技術者(専技)の「専任」とは、その営業所に常勤して専ら職務に従事することを意味しています。
つまり、専任技術者(専技)となる者は、雇用契約等により事業主体と継続的な関係を有しており、休日その他勤務を要しない日を除いて、通常の勤務時間中はその営業所に勤務していなければなりません。
例えば、その技術者の住所と勤務地が著しく離れている場合や、他の営業所の技術者となっている場合は「専任」とは認められず、その技術者は専任技術者(専技)にはなることはできません。
専任技術者に必要とされる資格と経験
注意すべき点として、建設業の許可区分には、一般建設業と特定建設業とがあり、その区分により、専任技術者(専技)に必要とされる資格や経験が大きく異なっているという点を挙げられます。
なお、一般建設業許可と特定建設業許可の詳細については、別の記事にてご説明させていただきます。
ここでは、元請業者として下請業者に発注できる金額の違いによって区別していると理解しておいてください。
建築一式工事では、総額7,000万円以上の建設工事を下請業者に外注する場合は特定建設業許可を必要とします(その他の工事業種の場合は総額4,500万円以上)。
〔一般建設業許可の場合〕
- 許可に関わる建設業の工事について高等学校の関連学科卒業後5年以上の実務経験者、大学の関連学科卒業後3年以上の実務経験者
- 許可に関わる建設業の工事について10年以上の実務経験者
- 上記1と2と同等以上の知識、技術、技能があると認められる者(例、国家資格者)
〔特定建設業許可の場合〕
- 許可に関わる建設業の種類に応じた高度な技術検定合格者、免許取得者(例、一級国家資格者等)
- 一般建設業の場合の資格要件に該当し、かつ許可に関わる建設業の工事について、元請けとして4,500万円以上の工事を2年以上監督した実務経験者
- 上記1と2と同等以上の能力があると認められる者
このように許可に関わる建設業の施工に関する資格や経験を有する技術者だけが、専任技術者(専技)となることができるのです。
そのため、建設業者様にとって、専任技術者(専技)の選定は建設業を取得するための大きな関門となっています。
建築一式工事に必要な専任技術者の国家資格
加えて、建築一式工事を含む7業種については、特定建設業許可の中でも指定建設業と呼ばれており、より厳しい規制がなされています。
具体的には、建築一式工事で特定建設業許可を取得する場合、専任技術者(専技)は原則として一級の国家資格者でなければなりません。
このことは、建築一式工事の特定建設業許可を取得する場合、実務経験による専任技術者(専技)の選定はありえないということを意味しています。
もちろん建築一式工事の一般建設業許可については、実務経験による専任技術者(専技)の選定は認められています。
ただ、その適格者の選定や証明方法の判断は大変難しいものとなっております。
ここで重要なことは、一般建設業許可であれ特定建設業許可であれ、専任技術者(専技)の証明を国家資格による証明とした場合、困難を極める建築一式工事の実務経験についての証明を全く求められなくなるということです。
建築一式工事の取得をお考えの方は、より早く確実に許可を取得するために国家資格へのチャレンジを検討されてはいかがでしょうか。
建築一式工事を取得できる国家資格は次の通りとなっています。
〔一般建設業許可の場合〕
一級建築施工管理技士 | 二級建築施工管理技士(建築) |
一級建築士 | 二級建築士 |
〔特定建設業許可の場合〕
一級建築施工管理技士 | 一級建築士 |
建築一式工事と国家資格による専任技術者(まとめ)
本記事では、建築一式工事と専任技術者(国家資格による専任技術者)に関し、専任技術者制度の概要や専任技術者(専技)に必要とされる資格と経験ついてご説明してきました。
専任技術者(専技)の適格者の選定や証明方法を間違えると、建築一式工事の建設業許可の取得は難しくなってしまいます。
建築一式工事の建設業許可を取得されたい建設業者様は、専任技術者(専技)の適格者の選定や国家資格の取得等を慎重にご検討願います。
それでも建築一式工事の専任技術者(専技)や建設業許可申請についてわからないとお悩みの建設業者様は、お気軽にお電話やメールでご相談ください。
弊事務所では、建築一式工事の建設業許可について、人的・組織的・物的・財産的基礎要件の確認から、必要書類の収集、申請書の作成、行政庁への提出まで、手続全般を代行しております。
行政書士に建築一式の建設業許可申請を依頼する場合(ご参考)
行政書士に建築一式の建設業許可申請を依頼される場合のご依頼の流れ・行政書士の料金・法定手数料等は、以下の通りとなっております。
ご依頼の流れ
建築一式の建設業許可申請のご依頼の流れとなります。
お客さま | お電話・メールにて相談をご予約ください。 |
行政書士 | 建築一式の建設業許可申請のご相談をいたします。 |
お客さま | 相談内容にご納得の後、業務の正式なお申込み。 |
料金の目安
建築一式の建設業許可申請(知事許可)を代行させていただく場合の料金目安となります。
許可の種類 | 許可区分 | 証明方法 | 報酬額目安(税抜) |
---|---|---|---|
知事許可 | 一般 | 国家資格者 | 150,000円~ |
実務経験 | 180,000円~ | ||
特定 | 200,000円~ |
法定手数料・登録免許税など
行政書士の目安料金のほか、建築一式の建設業許可申請(知事許可)ために必要となる諸費用となります。
許可の種類 | 法定手数料 | 登録免許税 | その他の実費 |
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知事許可 | 90,000円 | - | 数千円程度 |
無料相談のお薦め
弊事務所では初回のご相談を原則的に出張相談で承っております。
この初回出張相談は無料となっております。