- 建設業許可を絶対取得できないことってあるの
- 建設業許可の欠格要件って何のことなの・・・
- 建設業許可の取消処分を受けたら、もう許可をとることはできないの・・・
建設業法第8条では、建設業許可の基準のうち、消極的な要件、つまり、その要件に該当する者がいると建設業許可を取得できなくなる基準を定めています。
建設業許可の欠格要件等
詳しく言うと、この基準は、国土交通大臣や都道府県知事といった許可行政庁が建設業の許可をしてはならないものとして拒否事由と欠格要件を挙げています。
今回は、建設業許可を取得できない、また、許可をお持ちの許可業者様であれば許可を失ってしまう、拒否事由と欠格要件について、概要をご説明いたします。
建設業許可の拒否事由
- 『許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき』
許可申請書や添付書類中の重要な事項に虚偽の記載がある場合、重要な事実の記載が欠けている場合は、拒否事由に該当してしまいます。
これは、建設業許可制度それ自体から求められている事由と言えます。
この拒否事由に該当してしまうと建設業許可を受けることはできなくなります。
建設業許可の欠格要件
- 『①法人では、法人・法人の役員等(※注1)・令第3条に規定する使用人、②個人では、本人・支配人・令3条に規定する使用人、③法人役員または個人が営業に関し成年と同一の行為能力を有しない未成年である場合は、その法定代理人、が一定の要件(※)に該当するとき』
許可申請者やその役員、令第3条に規定する使用人等が社会制度上や建設業法上、建設業者としての適性を期待できない一定の要件(※)に該当する場合です。
これは、建設業許可の欠格要件と言われています。
この欠格要件に該当すると建設業許可を取得することはできません。
少し細かくなりますが、欠格要件をひとつひとつ確認していきましょう。
<欠格要件※>
1 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
2 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
3 不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、取り消しの日から5年を経過しない者
4 3に該当するとして聴聞の通知を受け取った後、廃業の届出をした場合、届出の日から5年を経過しない者
5 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれが大きいとき、または請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命じられ、その停止期間が経過しない者
6 禁固以上の刑に処され、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
7 次の法律に違反し、または罪を犯したことにより罰金刑に処され、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行をうけることがなくなった日から5年を経過しない者
(1) 建設業法
(2) 建築基準法・宅地造成等規制法・都市計画法・景観法・労働基準法・職業安定法・労働者派遣法の規定で政令で定めるもの
(3) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
(4) 刑法第204条(傷害罪)・第206条(現場幇助罪)・第208条(暴行罪)・第208条の2(凶器準備集合罪)・第222条(脅迫罪)または第247条(背任罪)
(5) 暴力行為等処罰に関する法律の罪
8 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員または同号の暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(暴力団員等)
9 暴力団員等が、その事業活動を支配する者(※注2)
※注1 相談役・顧問等いかなる名称であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員・取締役・執行役等と同等以上の支配力を有する者は、役員に含まれます。
※注2 受注者が暴力団員等であると判明した場合、公共工事の発注者は、受注者が建設業許可を受けた行政庁に通知します(入札契約適正化法第11条)。
通知を受けた許可行政庁は、暴力団員等である受注者に対し建設業許可の取消処分を行い、建設業からの暴力団排除を徹底できます。
提出書類(添付書類・証明書と診断書)
許可行政庁は、欠格要件に該当するかしないかを審査するため、建設業許可申請書類に特別の添付書類を求めています。
法人の場合は役員及び令第3条に規定する使用人(従たる営業所の支店長・営業所長等)の全員、個人の場合は本人および支配人(支配人登記している者に限る)の全員について、次の証明書・診断書を提出しなければなりません。
また、証明書は、発行後3ヶ月以内のものを提出する必要があります。
<証明書類(含、診断書)>
- 登記されていないことの証明書
成年被後見人または被保佐人に該当しない旨の法務局発行の証明書
※成年被後見人または被保佐人に該当する場合、医師の診断書を必要とします。
※医師の診断書には、役員等が「契約の締結及びその履行にあたり必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができる能力を有する」旨の記載を必要としています。
- 身分証明書
成年被後見人および被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ない者に該当しない旨の市区町村長の証明書
身分証明書は、本籍地の各市区町村長の戸籍事務担当課にて発行されます。
建設業許可の欠格要件等(まとめ)
ここまで、建設業許可の欠格要件等について、拒否事由と欠格要件に分けて、その概要をご説明してまいりました。
ところで、建設業許可を受けるためには、他にも次のような厳しい資格要件を備えていなければなりません。
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))又は建設業に関する「経営体制(常勤役員等と常勤役員等の直接補佐者)」を常勤で置いていること
- 専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること
- 請負契約に関して誠実性を有していること
- 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること
- 社会保険へ加入していること※
※建設業法の改正により、令和2年10月1日から社会保険への加入が建設業許可の要件となっております。
※従いまして、適用が除外される場合を除いて、社会保険の加入が確認できないときは建設業許可を申請できません。
しかし、これらの許可要件に全く問題がなく、許可基準を満たしていても、拒否事由と欠格要件の一つに該当してしまうと、それだけで建設業許可を取得できなくなってしまいます。
また、建設業許可を既にお持ちの許可業者様でも、欠格要件の一つに該当してしまうと建設業許可を維持できなくなってしまいます。
不注意等で欠格事項に該当してしまい、苦労して取得した建設業許可を失くしてしまわないようお気を付けください。
弊事務所では、建設業許可の申請や届出を通じ、建設業者様のコンプライアンス向上を応援しております。
建設業許可・建設業法でお悩みの建設業者様は、お気軽にご相談ください。