- 主任技術者と監理技術者の職務の違いが良くわからない
- 元請と下請とでは配置技術者の職務に何か違いがあるの・・・
- 専ら複数工種のマネージメントを行う下請の主任技術者の役割って何・・・
建設工事の工事現場に配置する技術者には、建設工事の施工に関する一定の資格や経験をもつ主任技術者や監理技術者をあてることになっています。
主任技術者と監理技術者の区別は、建設工事の種類、下請業者への発注金額、施工における立場(元請・下請)などに応じてなされています。
では、主任技術者と監理技術者との間には、その担っている職務に何か大きな違いや差があるのでしょうか。
主任技術者と監理技術者の職務内容
主任技術者と監理技術者の職務内容については、建設業法第26条の3に規定されています。
<建設業法第26条の3第1項>
- 主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。
主任技術者や監理技術者の職務は、建設工事の適正な施工を確保する観点から、当該工事現場における技術上の管理をつかさどることにあります。
少し詳しく言えば、先ずは、建設工事の施工にあたり、施工内容、工程、技術的事項、契約書と設計図書の内容を把握し、施工計画を作成しなければなりません。
そして、工事全体の工程の把握、工程変更への適切な対応等具体的な工事の工程管理、品質確保の体制整備、検査と試験の実施等を行い、工事目的物、工事仮設物、工事用資材等の品質管理を行う必要もあります。
更に、建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督も重要な職務となります。
ただ、建設業法においては、主任技術者と監理技術者の職務内容について明確な区別はなされていません。
そこで、今回は、主任技術者と監理技術者の職務内容の違いについて、「監理技術者運用マニュアル(国土交通省)」を参考に主に元請と下請という観点からその概要をご説明いたします。
元請と下請による配置技術者の職務内容の違い
◎元請の主任技術者・監理技術者の職務
〔役割〕
- 請け負った建設工事全体の統括的施工管理
〔施工計画の作成〕
- 請け負った建設工事全体の施工計画書等の作成
- 下請の作成した施工要領書等の確認
- 設計変更等に応じた施工計画書等の修正
〔工程管理〕
- 請け負った建設工事全体の進捗確認
- 下請間の工程調整
- 工程会議等の開催、参加、巡回
〔品質管理〕
- 請け負った建設工事全体に関する下請からの施工報告の確認、必要に応じた立ち会い確認、事後確認等の実地の確認
〔技術的指導〕
- 請け負った建設工事全体における主任技術者の配置等法令遵守や職務遂行の確認
- 現場作業に係る実地の総括的技術指導
◎下請の主任技術者の職務
〔役割〕
- 請け負った範囲の建設工事の施工管理
〔施工計画の作成〕
- 元請が作成した施工計画書等に基づき、請け負った範囲の建設工事に関する施工要領書等の修正
〔工程管理〕
- 請け負った範囲の建設工事の進捗確認
- 工程会議等への参加※
〔品質管理〕
- 請け負った範囲の建設工事に関する立ち会い確認(原則)
- 元請(上位下請)への施工報告
〔技術的指導〕
- 請け負った範囲の建設工事に関する作業員の配置等法令遵守の確認
- 現場作業に係る実地の技術指導
◎下請の主任技術者(専ら複数工種のマネージメントを担当)の職務
下請の主任技術者の中には、電気工事、空調衛生工事等において専ら複数工種のマネージメントを担当する主任技術者が存在します。
この下請の主任技術者は、元請との関係では下請の主任技術者の役割を担うことになります。
その一方で、下位の下請との関係では、元請の主任技術者や監理技術者の指導監督の下、元請が策定する施工計画書等を理解した上で、元請のみの役割を除いて、元請の主任技術者や監理技術者に近い役割を担います。
〔役割〕
- 請け負った範囲の建設工事の統括的施工管理
〔施工計画の作成〕
- 請け負った範囲の建設工事の施工要領書等の作成
- 下請の作成した施工要領書等の確認
- 設計変更等に応じた施工要領書等の修正
〔工程管理〕
- 請け負った範囲の建設工事の進捗確認
- 下請間の工程調整
- 工程会議等への参加※、巡回
〔品質管理〕
- 請け負った範囲の建設工事に関する下請からの施工報告の確認、必要に応じた立ち会い確認、事後確認等の実地の確認
〔技術的指導〕
- 請け負った範囲の建設工事における主任技術者の配置等法令遵守や職務遂行の確認
- 請け負った範囲の建設工事における現場作業に係る実地の総括的技術指導
※非専任の配置技術者の場合、毎日行う会議等に参加する必要はありません。
※ただし、要所の工程会議等には参加し、工程管理を行う必要はあります。
主任技術者と管理技術者のその他職務等
〔安全管理〕
前段の職務のほか、関係法令に基づく職務を監理技術者や主任技術者が行う場合、適切にその職務を遂行する必要があります。
特に、安全管理については、労働安全衛生法に基づく統括安全衛生責任者等を監理技術者や主任技術者が兼ねる場合には、その職務を適切に行う必要があります。
〔下請の主任技術者の職務(合意書面等の作成)〕
下請の主任技術者の工事における職務については、施工体系図の写を活用して記載し、下請が記載内容を確認するなどにより、元請と下請の双方が合意した内容を明確にしておきます。
施工体系図の作成を必要としない工事でも、下請の主任技術者の当該工事における職務について、元請と下請の双方の合意内容を書面にしておくことが望まれます。
〔工場製品の品質管理〕
建設工事の目的物の一部を構成する工場製品の品質に関する責任は、請負契約で調達したものに限らず、売買契約で調達したものも、工場製品の製造企業だけではなく、工場へ注文した下請やその上位の下請、元請にも生じます。
従って、製品を工場へ注文した下請やその上位の下請、元請の主任技術者・監理技術者は、工場の工程についても合理的な方法で品質管理を行う必要があります。
具体的には、主要な工程の立ち会い確認、規格品や認定品に関する品質証明書類の確認等の適宜合理的な方法による品質管理を行わなければなりません。
主任技術者と監理技術者の職務内容(まとめ)
主任技術者と監理技術者の職務内容の違いについて、「監理技術者運用マニュアル(国土交通省)」を参考に主に元請と下請という観点からその概要をご説明させていただきました。
わかりにくいと言われている主任技術者と監理技術者の職務内容の重要性や違いについて、概要はご理解いただけましたでしょうか。
建設業法は、建設工事の施工の技術上の管理をつかさどることを、主任技術者と監理技術者に求めています。
建設工事の施工現場の適正な施工の確保には、主任技術者や監理技術者の役割は大きなものです。
建設業者様においては、工事の種類や規模等に適った施工体制を構築され、建設工事の適正な施工の確保につとめていただければと思っております。
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