- 役員の退任はない、何もしなくとも大丈夫だよね
- 役員留任の選任はしていた、重任登記を忘れていた・・・
- 定款で役員の任期を伸ばした、いつまでの任期になるの・・・
建築一式工事等の建設業許可の申請書や変更届の中には、添付書類として登記事項証明書(履歴事項全部証明書等)を求められる手続も沢山あります。
例えば、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を必要とする建設業許可申請の代表例として、①新規許可申請②更新許可申請を挙げられます。
また、変更届においても、①営業所の所在地・電話番号・郵便番号の変更②営業所の新設③資本金額の変更④役員等の就任・辞任(退任)⑤代表者(申請者)の変更⑥役員等の氏名(改姓・改名)等、各種の変更届で登記事項証明書(履歴事項全部証明書等)を必要としています。
その他にも、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管)等)としての役員(取締役)の経験年数等の証明にも登記事項証明書(履歴事項全部証明書等)を使用する場合も出てきます。
建築一式工事と役員の重任登記(登記懈怠)
この登記事項証明書に関して、建設業者様において、たまにお忘れになっているのが役員の重任登記です。
役員の選任は間違いなくなされていても、役員の方に変更のない場合、うっかりと重任登記の手続をお忘れになることもあるようです。
このように役員の重任登記を忘れてしまうことを登記懈怠(とうきけたい)と言います。
実際、弊事務所でも、建設業許可の申請書や変更届を作成する際に、建設業者様の登記事項全部証明書(履歴事項全部証明書)を取り寄せると、重任登記をお忘れになられているケースに当たることもあります。
取締役・監査役の任期
ここでは簡単に、役員の任期について会社法の規定を確認します。
役員の中でも、最も重要となる取締役の任期については、会社法第332条に規定されています。
会社法第332条第1項は『取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することを妨げない』としています。
従って、会社法の規定により、概ね株式会社の取締役の任期は原則として選任後二年以内となります。
監査役の任期については、会社法第336条に規定されています。
ちなみに、監査役は、建設業許可上では役員の中に入っていません。
但し、監査役は、会社の基本的な機関でもあり、ここでは監査役の任期についても確認しておきます。
会社法第336条第1項は『監査役の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする』と規定しています。
つまり、監査役については取締役と異なり、任期は原則、概ね選任後四年以内となっています。
そして、会社法には他に重要な規定もあります。
会社法第332条2項と第336条第2項です。
これらの規定では、取締役も監査役も、非公開会社(株式譲渡制限会社)の場合は『定款によって、任期を選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することを妨げない』とされています。
つまり、株式譲渡制限会社については、取締役や監査役といった役員の任期を選任後、最長十年以内まで伸ばせるのです。
従って、株式譲渡制限会社においては、建設業者様の定款で役員の任期を慎重に確認しなければなりません。
定款に定めてある役員の任期によっては、重任登記を忘れていない、つまり、登記懈怠に当たらない場合もあるのです。
役員の重任登記を忘れた場合(登記懈怠の場合)
では、やはり役員の重任登記を忘れてしまっている場合、どうなってしまうのでしょうか。
何か罰則があるのでしょうか。
これについては会社法第976条に規定されています。
会社法第976条は、過料に処すべき行為を定めています。
具体的には『この法律による登記をすることを怠ったとき』は『百万以下の過料に処する』と規定されています。
従って、役員の重任登記を忘れた場合、過料を取られる可能性もあります。
過料の金額は、裁判所が百万円以下の範囲で決定することになっています。
但し、過料の金額についての具体的な基準は公表されていません。
よって、万が一、重任登記を忘れてしまった場合、登記期限を過ぎてしまった期間の長いほど、高い過料の金額となることを覚悟しておかなけれななりません。
尚、過料の制裁は、登記期限を過ぎてしまった登記申請によって登記懈怠を知ることになった書記官から裁判所に通知されることになっています。
その後、裁判所から会社代表者宛に具体的な過料の通知を送付されます。
裁判所からの過料の通知は、登記申請より数ヶ月程度の時間が経過してから建設業者様(会社代表者宛)に届きます。
役員の任期を伸ばした際の注意点
役員の重任登記がなされていない場合でも、株式譲渡制限会社の場合、臨時株主総会における役員任期の延長の議事録や現行定款で役員任期の伸長を確認できます。
但し、役員任期を十年に変更していても、任期の起算は伸ばしたときから十年にはなりません。
役員の十年任期も、あくまでも役員の就任日から十年を起算することになります。
以前はこの十年の任期の起算日を勘違いされている建設業者様も沢山いらっしゃいました。
建築一式工事の役員の重任登記(登記懈怠)まとめ
役員の重任登記については、建設業許可の申請書や変更届のさまざまな場面で確認されることになります。
役員の重任登記を忘れている場合、当然、建設業許可の申請書や変更届は受け付けられません。
また、仮に、役員の任期を伸ばしている場合、役員の任期を伸ばしたことを確認できる現行定款や株主総会議事録(定時もしくは臨時)の写を申請書や変更届に添付しなければなりません。
建設業者様は、役員の就任や退任(辞任)のない場合でも、自社の現行定款の規定や登記事項全部証明書(履歴事項全部証明書)、役員の個々の任期について日頃より注意しておかなければありません。
また、顧問税理士の先生や司法書士の先生、行政書士等の専門家に自社の諸手続のスケジュール管理をお願いするのも一つの手と言えるでしょう。
建築一式工事等の建設業許可の新規申請をお考えの建設業者様、既にお持ちの建設業許可の更新申請や変更届を予定されている建設業の許可業者様は、自社の役員の重任登記をお忘れにならないよう特に注意してください。
弊事務所では、建設業許可の申請書や変更届について、建設業者様に代わって申請書や変更届の作成・提出代行を行っております。
日頃のお仕事にお忙しく建設業許可の申請書や変更届の作成・提出のお時間のない建設業者様、建設業専門の弊事務所までお気軽にご相談ください。
















