- 経験証明期間中の証明事業者への常勤を示す資料ってどんな資料になるの
- 社会保険の未加入期間のある場合、未加入期間の証明者事業者への常勤を示す資料は何になるの・・・
- 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の他には経験証明期間中の証明事業者への常勤を示す資料はないの・・・
建設業許可申請では、常勤役員等(経営業務の管理責任者)や常勤役員等の直接補佐者、営業所技術者等(専任技術者(専技))は申請会社における現在の常勤性の証明を求められています。
それに加えて、東京都の場合、常勤役員等の直接補佐者や営業所技術者等(専任技術者(専技))の実務経験については、その経験を積んだ事業者(証明事業者)における証明期間中の常勤性も証明しなければなりません。
このことは、常勤役員等の直接補佐者や営業所技術者等(専任技術者(専技))の実務経験は、証明期間における証明事業者での常勤者としての経験しか認められないことを意味しています。
本記事では、この証明期間中の証明事業者への常勤を示す確認資料について、東京都の建設業許可申請における代表的な事例をケースに分けてわかりやすくご説明していきます。
証明期間中の証明事業者への常勤を示す確認資料ってどんな資料
それでは、証明期間における証明事業者への常勤を示す確認資料とはどんな資料を言うのでしょうか。
通常、申請会社における証明の場合、「事業所名の記載のある有効期限内の既存の健康保険被保険者証の写」の資格取得年月日で確認できます。
健康保険被保険者証に事業所名の記載のないもの、例えば、「マイナ保険証(表面)」や「資格確認書」の場合には、「健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書の写等」を証明期間の年数分用意することになります。
常勤役員等の直接補佐者については建設業許可の申請会社における業務経験しか認められませんから、上記の確認資料を準備するケースが多いと思われます。
<申請会社における証明>
- 事業所名の記載のある有効期限内の既存の健康保険被保険者証
- 健康保険被保険者証に事業所名の記載のないもの+健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書の写等
- マイナ保険証や資格確認書+健康保険・厚生年金保険被保険者に関する標準報酬決定通知書の写等
但し、営業所技術者等(専任技術者(専技))に関する実務経験証明の場合、申請会社における実務経験証明ではなく他社における実務経験証明のケースも数多くあります。
他社における実務経験証明のケースでは、証明期間中の他社への常勤を示す確認資料として、一般的には「厚生年金の被保険者記録回答票の写」を準備することになります。
<他社における証明>
- 厚生年金の被保険者記録回答票の写等
「厚生年金の被保険者記録回答票の写」によって、営業所技術者等(専任技術者(専技))のこれまでのお務め先の名称、資格取得年月日、資格喪失年月日、加入月数を確認できます。
「厚生年金の被保険者記録回答票の写」の記録と証明したい実務経験期間を照合することで営業所技術者等(専任技術者(専技))の他社での常勤を証明することになります。
社会保険の未加入期間のある場合
少し難しいケースをご説明します。
ここでも、営業所技術者等(専任技術者(専技))の実務経験証明について考えていきます。
この営業所技術者等(専任技術者(専技))の実務証明期間に在籍した証明事業者様に社会保険の未加入期間のある場合は、どうすれば良いのでしょうか。
この営業所技術者等(専任技術者(専技))は、在籍した証明事業者様の社会保険の未加入期間を使わなければ必要な実務経験年数を満たせないケースとします。
有効期限内の既存の健康保険被保険者証にある資格取得日以降の期間では、営業所技術者等(専任技術者(専技))となれる実務証明期間を満たすことのできないケースとも言えます。
社会保険の未加入期間のある場合、厚生年金の被保険者記録回答票の写では証明期間内の証明事業者における常勤を証明することはできません。
それでは、どうすれば良いのでしょうか。
これらのケースでは、証明期間中の証明事業者様での常勤性の証明として、例えば、「住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写」を証明期間の年数分用意して頂くことになります。
<証明事業者に社会保険の未加入期間のある場合>
- 住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写
「住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写」を用意することで、社会保険の未加入期間についても証明事業者様における常勤を証明できることになり、その結果、社会保険の未加入期間についても営業所技術者等(専任技術者(専技))の実務経験証明期間に算入できることになります。
良かったですね。
住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)を提出できない場合
更に難しいケースをご説明します。
この証明事業者様は、何らかの事情によって証明期間中の住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写を提出できないとします。
それでは、証明事業者様は何を準備すれば良いのでしょうか?
それとも、住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写を用意できないことをもって、証明期間中の証明事業者での常勤を証明することを諦めないといけないのでしょうか。
他に何か手立てはないのでしょうか。
諦めるのは早いです。
東京都の場合、証明期間における証明事業者への常勤を認めてもらえる他の確認資料があります。
ただ、証明事業者様にとっては、この証明事業者での常勤を認めてもらえる確認資料を準備することはとても煩雑な作業を伴うことになります。
とは言うものの、営業所技術者等(専任技術者(専技))の実務経験の証明期間における証明事業者様への常勤を証明できる最後の砦の確認資料となります。
もう一息なので頑張ってください。
源泉徴収簿(全員分)と領収証の準備
建設業者様にかかわらず事業者様は「源泉徴収簿」を毎月作成されています。
「源泉徴収簿」とは、従業員の給与や賞与といった所得や、社会保険料や雇用保険料等の控除額を記録し、正しい所得税額を算出するための帳簿のことです。
経験証明の証明事業者様は「源泉徴収簿(全員分)」と「それに対する領収証」を証明期間分(毎月分×年数分)を用意していただくことになります。
また、注意すべき点として、毎月の源泉徴収金額(全員分)の総額とそれに対する領収証の金額は合致していなければならないことを挙げられます。
<住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)を用意できない場合>
- 源泉徴収簿(全員分)+それに対する領収証 (証明期間分(毎月分×年数分))
- 毎月の源泉徴収金額(全員分)の総額=それに対する領収証の金額
そのため、従業員数の多い事業者様においては、この確認資料の取り纏めには大変な時間と労力を必要としています。
ただ、これによって営業所技術者等(専任技術者(専技))の実務経験を証明できるか否かが掛かっています。
経験証明の証明事業者様は気力を振り絞って地道な作業を行ってください。
経験証明期間における証明事業者への常勤を示す資料(東京都の場合)まとめ
本記事では、証明期間中の証明事業者への常勤を示す確認資料について、東京都における代表的な事例をケースに分けてわかりやすくご説明しています。
例えば、健康保険被保険者証に事業所名の記載のない場合(含、マイナ保険証(表面)・資格確認書)、社会保険の未加入期間を実務経験の証明期間に算入したい場合、住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写を準備できない場合等、証明の難しい事例を取り上げています。
これらの証明の難しいケースであっても、証明期間の証明事業者での常勤を示す様々な方法、確認資料のあることをご理解いただけたと思います。
それぞれのケースの確認資料を思い出せない建設業者様は、もう一度本記事を復習していただければと思います。
弊事務所では東京都の建設業許可の申請に関して、許可要件の適否判断から、各種証明書類の収集、申請書の作成と提出まで、建設業者様の手続を一貫代行しております。
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