- 取締役を退任した5%以上株主の名前表記は、取締役のときと同じなの
- 取締役を退任した5%以上株主の名前表記には、決まりはないの・・・
- 取締役を退任した5%以上株主の名前表記は、住民票や戸籍に記載されている字になるの・・・
建設業許可申請の場合、5%以上株主についても役員等として申請(届出)しなければなりません。
ただ、5%以上株主であっても取締役である場合には、取締役として申請(届出)されることになります。
※株主調書を除いて、役員等に関係する申請書や変更届の記載は、基本的には取締役としての記載となっています。
取締役の名前表記の大原則
実は、役員等の取締役の名前表記については建設業許可申請上の原則があります。
それは、役員等の取締役については履歴事項全部証明書に記載されている文字で名前を表記するという大原則です。
役員等の取締役の名前表記には、住民票に記載されている文字や戸籍関係書類に記載されている文字を使用しません。
この履歴事項全部証明書に記載されている文字を使用するというルールによって、役員等の取締役の退任(辞任)時に注意しなければならないケースも出てきます。
注意しなければならないケースとは、取締役のみを退任(辞任)した5%以上株主のいらっしゃるケースです。
ここからは、取締役を退任(辞任)した5%以上株主のケースについて、具体例を用いてご説明いたします。
取締役を退任(辞任)した5%以上株主の場合
御茶ノ水橋駅前建設㈱という建設会社があるとします。
この建設会社は東京都の建築一式工事の建設業許可を取得しているとします。
こちらに甘粕髙雄さんという取締役がいらっしゃいます(常勤役員等(経営業務の管理責任者ではありません)。
甘粕取締役は、御茶ノ水駅前建設㈱の設立時からの役員で会社の全株式の10%を当初より保有しておられます。
甘粕取締役は、当然、東京都の建設業許可上、役員(取締役)として申請(届出)されています。
この甘粕取締役は、後進に道を譲るため御茶ノ水駅前建設㈱の取締役を退任(辞任)されることになったようです。
ただ、取締役は退任(辞任)されますが、設立メンバーの一人でもあり、当面は保有している株式はそのまま保有することになっています。
このことにより、甘粕取締役については、建設業許可上は、役員等の取締役としての立場は消え、株主等の立場のみ継続することになります。
御茶ノ水駅前建設㈱の商業登記簿からは、当然、甘粕取締役の名前は削除されることになります。
商業登記簿の役員退任(辞任)の手続も完了し、確認のため履歴事項全部証明書を取得してみたところ、あれ、削除された甘粕取締役の名前は、甘粕高雄と登記されていたようです。
「髙」と言う文字が「高」になっていました。
他にも調べてみると、過去の東京都の建設業許可の申請書においても、「高」が使用され、甘粕高雄と申請(届出)されています。
その一方で、過去の建設業許可の申請書に添付されていた身分証明書や登記されていないことの証明書を確認してみると、「髙」が使用され、甘粕髙雄と記載されています。
これはいったい、なぜでしょうか?
建設業許可の役員等の取締役の名前表記の原則を思い出してください。
そうです、役員等の取締役については履歴事項全部証明書に記載されている文字で名前表記するという原則でした。
ということは、建設業許可申請上は、役員等の取締役の名前表記は住民票の記載や戸籍関係書類の記載の文字を使用しないということになります。
ここからが注意しなければならない事項となります。
取締役を退任(辞任)した5%以上株主の名前表記
それでは、役員等の取締役を退任(辞任)した甘粕(前)取締役の名前表記は今後はどのようになるのでしょうか?
甘粕(前)取締役は役員等の取締役を退任したとは言え、5%以上株主として、建設業許可の申請書や変更届への名前の記載は今後も続いていきます。
そもそも甘粕(前)取締役の役員等の取締役の退任(辞任)の変更届も東京都に提出しなければなりません。
これからの建設業許可の書類において、甘粕(前)取締役の名前表記はどのような表記となるのでしょうか?
今まで、役員等の取締役として履歴事項前部証明書の記載文字で名前表記していたのだから、人が変わらない以上は同じ文字を使うことになるのでしょうか?
いいえ、違います。
甘粕(前)取締役は役員等の取締役を退任(辞任)されているのです。
従って、名前表示ついての取締役の使用文字の大原則-履歴事項全部証明書の記載の文字-は適用されません。
5%以上株主のみの身分である甘粕(前)取締役は、住民票の記載や戸籍関係書類の記載の文字を使用して各申請書や変更届に名前表記しなければなりません。
今後は、甘粕高雄ではなく甘粕髙雄と名前表示しなければならないのです。
「高」ではなく「髙」という文字を使用することになります。
役員等の取締役でなくなった以上は、過去に商業登記されていた文字であったとしても名前表記に使用しません。
うっかりと間違わないように注意してください。
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