- 5%以上の株を持つ取締役が取締役を退任した、どどうすればよいの
- 取締役を辞めても5%以上の株主としては残る、どうすればよいの・・・
- 変更届出書(22号の2(1面))の書き方、どうすればよいの・・
東京都の建設業許可を取得後、申請事項に変更にある場合には変更届を提出しなければなりません。
変更届の提出を求められる届出事項はいくつもあります。
例えば、法人様の場合、法人様における典型的な変更事項として役員等の変更を思い浮かべてください。
この役員等の変更にともなって、建設業許可においても東京都に変更届を提出しなければならないケースとして、取締役の就任・辞任・退任といった事項を挙げられます。
ここで注意すべきは、建設業業許可においては役員等の変更届の対象は何も取締役に限定されていないということです。
取締役兼5%以上株主が取締役のみ辞めた場合の変更届
実は、建設業許可においては、5%以上の株主についても、その就任や削除について変更届の提出を求められています。
なぜなら、5%以上の株主についても、建設業者様に対して取締役と同等以上の支配力を有する者と考えられているからです。
「そんなことはわかっているよ、別に何も問題はないよ」といった建設業者様の声も聞こえてきそうです。
確かに、取締役と兼務されていない5%以上の株主の就任や削除の変更届については余りお悩みになることはないかもしれません。
ただ、取締役と兼務されている5%以上の株主の就任や削除の変更届についてはお悩みになるケースも出てくることと思います。
整理していきましょう。
取締役と5%以上の株主との関係
建設業許可の場合、取締役と兼務されている5%以上の株主については、取締役の地位を優先するため、申請書や届出書の役名等(職名)は取締役としてのみ記載することになっています。
従って、建設業許可申請書における「株主調書」を除いて、5%以上の株主であることは表舞台に出てくることはありません。
例えば、「役員等の一覧表や許可申請者の住所、生年月日に関する調書」「氏名一覧」においても取締役とのみ記載されることになっています。
取締役兼5%以上株主、取締役も5%以上株主も同時に辞める場合
では、この取締役が取締役を退任もしくは辞任されたとしましょう。
取締役を退任もしくは辞任されるのと同時に、5%以上の株主も地位も退かれるとします。
この場合、東京都の建設業許可においては、役員等の変更届として、取締役の退任もしくは辞任の届出のみとなります。
具体的には、「変更届出書(22号の2(1面)」で取締役としての名前を消し、「役員等の一覧表」からもその取締役の名前を消します。
後は別綴じで「履歴事項全部証明書」を添付し、取締役を退任もしくは辞任されたことを東京都に確認してもらいます。
この場合は、5%以上の株主としての地位の削除については「変更届出書(22号の2(1面)」の記載上は出てくることはありません。
取締役兼5%以上株主、取締役のみ辞める場合
それでは、この取締役が退任もしくは辞任されるものの、5%以上の株主の地位を継続される場合はどうなるのでしょうか。
取締役としては退かれるが、5%以上の株主としてそのままあり続けるというケースです。
ここでのポイントは、この5%以上の株主は取締役の退任もしくは辞任によって5%以上の株主に就任されたわけではないということです。
この5%以上の株主は以前より今日まで(これからも)5%以上の株主であり、たまたま取締役の地位にあったために5%以上株主の地位が見えにくくなっていただけなのです(取締役の裏に隠れていただけ)。
さて、この場合の役員等の変更届はどのような記載になるのでしょうか。
先ずは、取締役の退任もしくは辞任については通常の役員等の変更届と同じ記載となります。
「変更届出書(22号の2(1面)」で取締役としての名前を消します。
ここまでは、大丈夫ですよね。
次に、「変更届出書(22号の2(1面))」に5%以上の株主としての名前を記載・・・しません。
驚かれましたか。
さて、どうして5%以上の株主としての名前を記載しないのでしょうか。
取締役としての地位が消えたのですから、5%以上の株主の地位が表舞台に出てきて良いような気がしますよね。
ここで少し考えてください。
この5%以上の株主は、取締役の退任もしくは辞任によって5%以上の株主に就任されたわけではありません。
つまり、この5%以上の株主は以前から今日まで(これからも)5%以上の株主であることに何も変わりはないのです。
では、どのように処理をすればよいのでしょうか。
「役員等の一覧表」の記載に注意を要します。
この取締役は取締役としては、辞任もしくは退任されるので取締役としての名前については当然消すことになります。
他方、取締役の地位を退いたため、5%以上の株主の地位がここで表に出てくることになります(表舞台に登場)。
そう、「変更届出書(22号の2(1面)」ではなく「役員等の一覧表」に株主等として記載することになるのです。
では、「許可申請者の住所、生年月日等に関する調書」「氏名一覧表」はどのように取り扱うのでしょうか。
「許可申請者の住所、生年月日等に関する調書」については、新規就任者についてのみ記載することになっています。
この5%以上の株主は新たに5%以上の株主に就任されたわけではありません。
「許可申請者の住所、生年月日等に関する調書」については、新たに作成する必要はありません。
では、「氏名一覧表」はどうなるのでしょうか。
「氏名一覧表」についても、新規就任者についてのみ記載することになります。
何度も言いますが、この5%以上の株主は新たに5%以上株主に就任されたわけではありません。
従って、「氏名一覧表」も、新たに作成する必要はありません。
東京都の場合、5%以上の株式を持っている取締役が取締役のみを辞めたケースでは、株主としての地位は「役員等一覧表」でのみ確認されることになります。
取締役兼5%以上株主が取締役のみ辞めた場合の変更届(まとめ)
本記事をまとめると次のような処理(記載)の流れとなります。
- 取締役兼5%以上の株主が取締役のみ退任(辞任)した場合、役員等の変更届としては取締役の退任(辞任)に必要な書類を用意する。
- その際「役員等の一覧」の記載について、その取締役の役名等を取締役から株主等に変更して記載する。
- 「許可申請者の住所、生年月日等に関する調書」「氏名一覧表」については、新たに作成はしない。
役員等の変更届は建設業許可の許可要件に直接的に関わる変更届ではありません。
但し、取締役兼5%以上株主が取締役のみ辞めた場合には、「あれっ」と思う処理(記載)方法になるケースもあるのです。
実際、東京都の建設業許可をお持ちの建設業者様の中には、どう処理(記載)をすればよいのかお悩みになる方も多いようです
弊事務所では、東京都の建設業許可に関して、お忙しい建設業者様に代わって、各種申請や変更届の作成や提出代行に積極的に取り組んでいます。
本記事でご紹介したような少し迷ってしまう役員等の変更届についても多数取り扱っています。
東京都の建設業許可でお困りの建設業者様は、お気軽にご相談ください。