- 法定外労災に加入していれば、経営事項審査で必ず加点されるの
- 健康保険・厚生年金保険の加入事業者は、法定外労災も加点対象なの・・・
- 法定労災の適用除外事業者の場合、法定外労災の加点は絶対ないの・・・
経営事項審査(経審)の審査項目に「その他の審査項目」という項目を見つけられます。
「その他の審査項目」では、社会性等の評価をなされることになっています。
社会性等の評価においては、該当項目のある場合には加点評価になったり、反対に、社会保険等(健康・厚生・雇用)に未加入項目のある場合には減点評価になったりします※。
高い総合評定値(P点)を得たい建設業者様の中には、経営事項審査(経審)の審査項目について、先ず初めに「その他の審査項目」についての対策を講じられる方も多いと思います。
ただ、この「その他の審査項目」には、加点評価になりそうで、実は、加点評価にならないケースもあります。
本記事では、「経営事項審査、評点アップの落とし穴」として法定外労働災害補償制度加入(法定外労災加入)による加点を狙う際の注意事項についてご説明いたします。
※社会保険等(健康・厚生・雇用)の加入については、令和8年7月より経営事項審査(経審)の審査項目より除外されます。
労働福祉の状況
経営事項審査(経審)では、労働福祉の状況として①雇用保険加入の有無②健康保険加入の有無③厚生年金保険加入の有無④建設業退職金共済制度加入の有無⑤退職一時金制度若しくは企業年金制度導入の有無⑥法定外労働災害補償制度加入の有無の審査を挙げられます。
特に注意すべきは、「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」についてです※。
これらの3項目について、未加入であると各々40点の減点となります。
従って、仮に「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」の3保険に未加入であった場合には、120点の大減点となってしまいます。
建設業者様によっては、この3項目の減点で経営事項審査(経審)を受ける意味をなくしてしまうこともあるくらいです。
「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」の3項目の減点についてはとても重要な項目なのでご説明しています。
本記事の本題はこの3保険のことではありません。
※社会保険等(健康・厚生・雇用)の加入については、令和8年7月より経営事項審査(経審)の審査項目より除外されます。
法定外労働災害補償制度加入(法定外労災加入)の有無
経営事項審査(経審)では、労働福祉の状況として法定外労働災害補償制度加入(法定外労災加入)の有無について審査されます。
法定外労働災害補償制度(法定外労災)とは、政府の労働災害補償制度(法定労災)とは別に上乗せ給付等を行うことを目的としています。
そのため、当然、政府の労働災害補償制度(法定労災)に加入していることを前提としています。
その上で、次の4要件を全て満たしている場合に加点評価の対象となります。
- 業務災害と通勤(出勤と退勤両方)災害を担保していること
- 死亡及び労働災害補償保険の傷害等級第1級から第7級を補償(業務起因性疾病は対象外)していること
- 直接の使用関係にある下請負人(数次の場合は下請負人全て)の直接使用関係にある職員全てを対象としていること(記名式は認められません。)
- 当該申請者が施工する全工事(共同企業体及び海外工事は除きます。)を補償(工事現場毎の契約は対象外)していること。
経営事項審査(経審)の審査基準日(決算日)において、法定外労働災害補償制度(法定外労災)に加入していれば、申請書の項番46に「1」を、加入していなければ「2」を記入することになります。
建設業者様の中には、「そんなことわかっている。」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
少し、簡単な事例で考えてみましょう。
経営事項審査、評点アップの落とし穴(事例)
とび・土工工事業の建設業許可をお持ちのA社様、経営事項審査(経審)を受けるにあたり、少しでも総合評定値(P点)を高くしたいとお考えになり、法定外労働災害補償制度(法定以外労災)に加入されました。
もちろん、法定外労働災害補償制度の4要件についても全て満たしている保険に加入されています。
A社様は加点がもらえると思っていたところ、経営事項審査(経審)会場で、審査行政庁より「A社様は、加点対象にならない。」と言われてしまいます。

一体どういうことなのでしょうか。
ヒントは、法定外労働災害補償制度(法定外労災)が、政府の労働災害補償制度(法定労災)とは別に上乗せ給付等を行うことを目的としている点にあります。
つまり、A社様は、政府の労働災害補償制度(法定労災)に加入していなかったため、上乗せ給付として法定外労働災害補償制度(法定外労災)に加入していても、加点対象とならなかったのです。
「なんだ、そんなことか。A社が経営事項審査(経審)の申請前に、しっかりと要件を確認しておけば良かっただけだ。うちとは関係ない。」とお思いの建設業者様もいらっしゃると思います。
でも、A社様の場合、実は少し違う事情もあったのです。
この事情こそが、経営事項審査(経審)の評点アップ(法定外労災)の落とし穴となるのです。
経営事項審査、評点アップの落とし穴(事例の真相)
A社様には、社内には代表取締役と業務執行の役員(取締役)しかいらっしゃいませんでした。
そのため、A社様は政府の労働災害補償制度(法定労災)に加入できません。
なぜなら政府の労働災害補償制度(法定労災)は、従業員のために事業主に加入を義務づける制度となっているからです。
A社様の場合、従業員はいないため政府の労働災害補償制度(法定労災)については、未加入ではなく適用除外となります。
当たり前ですが、これは違法ではありません。
また、A社様は「健康保険」と「厚生年金保険」にはしっかりと加入されており、法的には何ら問題のない状態になっています。
そのため、A社様は、経営事項審査(経審)の評点アップを狙って法定外労働災害補償制度(法定外労災)に加入されたのです。
でも結果は、法定外労働災害補償制度(法定外労災)の加入による加点は認められませんでした。
どうしてでしょうか。
「・・・。」
もう、おわかりですね。
法定外労働災害補償制度(法定外労災)の加入による加点は、あくまでも上乗せ給付等を行うことに対してなされています。
従って、そもそも上乗せ給付等の前提となる政府の労働災害補償制度(法定労災)に加入していない場合、加点されないのです。
確かに、A社様は政府の労働災害補償制度(法定労災)については適用除外であり、そもそも加入はできません。
しかし、法定外労働災害補償制度(法定外労災)の加点評価という点については、政府の労働災害補償制度(法定労災)の未加入業者と適用除外業者は、結果として「加点なし」という同じ扱いになっています。
A社様は、当初の目論見と異なる結果となり肩を落とされてしまいました。
では、この場合、どうすればA社様は法定外労働災害補償制度(法定外労災)の加入による加点を得られたのでしょうか。
特別労災制度(任意加入)の加入と法定外労災制度の加入
経営者や一人親方が任意加入できる保険として、特別労災保険制度(任意加入)を挙げられます。
では、A社様の代表取締役や業務執行の役員(取締役)が経営事項審査(経審)の審査基準日(決算日)に特別労災保険制度(任意加入)に加入されていた場合、どうなったのでしょうか。
実は、この特別労災保険制度(任意加入)に加入していれば、A社様は法定外労働災害補償制度(法定外労災)の加入による加点を認めてもらえたのです。
A社様のように代表取締役や業務執行の役員(取締役)を除いて従業員の全くいない建設業者様だからこそ、特別労災保険制度(任意加入)の加入を漏らさないようにしなければなりません。
経営事項審査、評点アップの落とし穴(法定外労災)(まとめ)
本記事は、「経営事項審査、評点アップの落とし穴」として法定外労働災害補償制度加入(法定外労災加入)による加点を狙う際の注意事項についてご説明しております。
そもそも代表取締役や業務執行の役員(取締役)も施工現場に赴いて、その施工現場の業務に携わることは建設業者様ではよくあることです。
万が一の備えの為にも、会社として特別労災保険制度(任意加入)の加入は必須と言えます。
そうすれば、経営事項審査(経審)においても法定外労働災害補償制度(法定外労災)の加入による加点を得ることもでき、総合評定値(P点)を高くすることもできます。
弊事務所では、決算変更届(事業年度終了届)や経営状況分析を含め、経営事項審査(経審)について建設業者様に代わり申請を一貫代行しております。
決算変更届(事業年度終了届)・経営状況分析・経営事項審査(経審)でお困りの建設業者様、建設業専門の弊事務所までお気軽にご相談ください。
















