多くの建設業者様は、とてもお忙しく、じっくりと建設業許可申請に取り組むことは難しいかと思われます。
建設業の営業や施工現場での業務をやりながら、建設業許可の申請手続について調べたり、手引書を読んだりするのも正直辛いことと思います。
また、許可行政庁に申請手続について、確認しようと思っても、何から手を付けて良いのかわからないというのが本当のところだと思います。
本記事では、そんな建設業者様のために、知っておいていただきたい建設業許可取得のポイントについてご説明したいと考えています。
知っていただくことを優先しているので、厳密な意味や緻密性は若干犠牲にしております。
先ずは、建設業許可取得のポイントを超ざっくりとご理解いただければと思っております。
建設業許可を受けるための6つの基本要件
初めに、建設業許可の取得に必要となる要件について、確認してみましょう。
建設業許可を取得するための資格要件は、大きく次の6つあります。
- 『経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を備えていること(令和2年10月改正)』
- 『専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること』
- 『請負契約に関して誠実性を有していること』
- 『請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること』
- 『欠格要件等に該当しないこと』
- 『適切な社会保険に加入していること(令和2年10月改正)』
このうち建設業許可を取得するための最も大切な要件は、①『経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を備えていること』②『専任技術者を営業所ごとに常勤で置いていること』の2つになります。
もちろん、他の要件も全て満たしていなければ建設業許可を取得できません。
ここでは、肝である『経営業務の管理を適正に行うに足りる能力』『専任技術者(専技)』の要件について超ざっくりと見て行きます。
経営業務の管理を適正に行うに足りる能力の超ざっくり要件
実は、令和2年10月1日の建設業法改正によって、従来の経営業務の管理責任者(経管)に関する規定が大きく変わっています。
建設業許可を取得したい建設業者様は、主たる営業所に「経営業務の管理責任者(経管)」を置くこと、または建設業に関する「経営体制(常勤役員等と常勤役員を直接に補佐する者)」を置くことを求められます。
これによって「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を備えていること」には6つのパターンが存在することになっています。
本記事では、6つのパターンがあるということのみを覚えていただき、最も基本的で最も一般的な要件についてご説明します。
- 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
この常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))になるには、例えば、法人の場合は常勤の役員、個人事業の場合は個人事業主様本人が、建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していなければなりません。
ここで言う常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))としての経験とは、建設業の経営業務について総合的に管理・執行した経験とお考えください。
そして、この常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))の要件を満たしているかについては、次のように考えてみてください。
- 現在、自社の中に、取締役としての経験や個人事業主としての経験を5年以上持っている者がいるかどうか。
- また、その期間中、建設業に係る建設工事を請け負ってきたかどうか。
これらを満足できない場合、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))の基準を満たすことのできる者が不在となり、このままでは建設業許可の取得は極めて難しい状況と言えます。
他方、これらを満足できる場合には、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))の基準を満たすことのできる者を準備できる可能性が出てきます。
専任技術者(専技)の超ざっくり要件
専任技術者(専技)になるには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事について、国家資格をお持ちか、10年以上の実務経験を有していなければなりません。
尚、専任技術者(専技)になるための基準は、他にもありますが、上記が最も基本的な基準となります。
※例えば、10年以上の実務経験については、技術者のご出身の学校等によって3年、5年に短縮される場合もあります(指定学科)。
専任技術者(専技)については、建設業に係る建設工事の技術の責任者とお考えください。
そして、この専任技術者(専技)の要件を満たしているかについても、次のように考えてみてください。
- 現在、自社の取締役や従業員の中に、許可を受けようとする建設業に係る建設工事について、10年以上携わっている技術者がいるかどうか。
- また、許可を受けようとする建設業に係る建設工事について、施工管理技士等の国家資格を持っている技術者がいるかどうか。
これらの条件のどちらも満足できない場合、専任技術者(専技)の基準を満たすことのできる技術者が不在となり、やはり、このままでは建設業許可の取得は極めて難しい状況と言えます。
他方、これらの条件のいずれかを満足できる場合は、専任技術者(専技)の基準を満たす技術者を準備できる可能性が出てきます。
確認資料の超ざっくり注意点
建設業許可の申請においては、許可要件や基準を満たしていることは基本的に書面で証明しなければなりません。
従って、建設業許可申請において問われる経験や工事実績についても、当然、書面で証明する必要があります。
具体的に必要となる書面(原本)は、工事請負契約書や注文書・注文請書等の書面となります。
例えば、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))や専任技術者(専技)の経験年数や実務経験年数について証明する場合、証明しようとする基準によって、5~10年の工事請負契約書や注文書・注文請書等の書面(原本)を準備しなければなりません。
仮に、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))や専任技術者(専技)としての経験を有していても、5~10年の工事請負契約者や注文書・注文請書等の書面(原本)を準備できないと建設業許可の取得はとても厳しくなってしまいます。
建設業許可の取得の可否について、許可を受けたい工事業種の工事請負契約書や注文書・注文請書等の書面(原本)の準備は、とても重要な前提となります。
建設業許可取得の超ざっくりポイント(まとめ)
ここまで、建設業許可取得の超ざっくりポイントについてご説明してきました。
建設業許可を取得できるか否かの最大の関門、常勤役員等(経営業務の管理責任者(経管))と専任技術者(専技)についてご認識いただけたかと思います。
ここで挙げさせていただいたポイントに気を付けていただき、建設業許可の手引書をお読みいただければ、ご理解をいっそう深めていただけるものと思います。
それでも、やはり建設業許可申請は煩わしく難しいとお感じの建設業者様は、弊事務所までお気軽にご相談ください。
弊事務所では、建設業許可について、人的・組織的・物的・財産的要件の確認から、必要書類の収集、申請書の作成、行政庁への提出代行まで、手続全般をサポートしております。