<般・特新規>
- 「一般建設業」のみを受けている者が「特定建設業」を申請する場合
- 「特定建設業」のみを受けている者が「一般建設業」を申請する場合
般・特新規と専任技術者の変更届の要否について
東京都の建設業許可申請の中で、般・特新規申請という申請区分のあることはご存知のことと思います。
般・特新規申請とは、「一般建設業」のみを受けている者が「特定建設業」を申請する場合や「特定建設業」のみを受けている者が「一般建設業」を申請する場合を言っています。
この般・特新規申請の際に、東京都の建設業者様を困らせているのは、専任技術者(専技)の変更届に関することです。
建設業の営業や施工現場の管理等で多忙を極める東京都の建設業者様にとって、般・特新規申請の際、専任技術者(専技)の変更届を必要とするのか、しないのかを正しく判断することはとても難しくなっています。
本記事では、「特定建設業」から「一般建設業」への般・特(特・般)新規申請の際の専任技術者(専技)の変更に関し、特に注意を必要とするケース(特に深刻なケース)について事例を使ってわかりやすくご説明させていただきます。
般・特(特・般)新規と専任技術者の変更届の要否を事例で確認
<ケース4 お茶の水内装工事㈱の場合>
- 東京都知事許可
- 特定建設業
- 内装仕上工事業
- 専任技術者(専技)の乙さんの資格は一級建築施工管理技士
- 「特定建設業」から「一般建設業」への般・特(特・般)新規申請を希望
- できれば、専任技術者(専技)も丙さんへの変更を希望
- 丙さんの資格は二級建築施工管理技士(仕上げ)
東京都知事許可をお持ちのお茶の水内装工事㈱のケースを見てみましょう。
お茶の水内装工事㈱の建設業許可は、特定建設業となっています。
また、現時点での専任技術者(専技)は乙さんとなっています。
専任技術者(専技)乙さんの資格は、国家資格である一級建築施工管理技士のようです。
もし仮に、お茶の水内装工事㈱が、一級建築施工管理技士の乙さんを専任技術者(専技)として、現在取得している特定建設業許可の内装仕上工事業を一般建設業許可に変更したいと考えておられるだけであれば、さほど問題はありません。
お茶の水内装工事㈱は、般・特(特・般)新規申請の前(もしくは同時)に専任技術者(専技)について変更届の提出をする必要はありません。
そのまま「特定建設業」から「一般建設業」への般・特(特・般)新規申請をしていただくことになります。
これらについては、『般・特(特・般)新規、専任技術者の変更届の不要なケース(東京都の場合 ケース3)』で詳しくで説明しております。
ただ、今回のケースでは、お茶の水内装工事㈱は専任技術者(専技)を丙さんに変更することを希望されています。
しかも、丙さんの国家資格は一級建築施工管理技士ではなく、二級建築施工管理技士となっています。
このケースの場合、お茶の水内装工事㈱は、般・特(特・般)新規申請において何を注意しなければならないのでしょうか。
専任技術者の変更を行う際に特に注意を要するケースについて
通常は、お茶の水内装工事㈱が、専任技術者(専技)乙さんのままで、般・特(特・般)新規申請を行って、一般建設業許可を得てから専任技術者(専技)を丙さんとする変更届を提出することになります。
なんか、まどろっこしいとお感じの建設業者様もいらっしゃいそうです。
では、お茶の水内装工事㈱は、東京都から一般建設業許可を得る前に、専任技術者(専技)を乙さんから丙さんに変更することは可能なのでしょうか。
じっくりお考えください。
わかりましたか。
実は、これはできません。
お茶の水内装工事㈱は、東京都から一般建設業許可を得る前には、乙さんから丙さんに専任技術者(専技)を変更することはできないのです。
どうしてでしょうか。
理由をご説明します。
東京都よりお茶の水内装工事㈱に対して一般建設業許可の下りるまでは、お茶の水内装工事㈱様の特定建設業許可は継続しています。
そう、お茶の水内装工業㈱は、まだ「特定建設業」の許可業者のままなのです。
そのため、「一般建設業」の許可日以降でなければ、「特定建設業」の専任技術者(専技)の要件を満たしていない専任技術者(専技)への変更はできないことになります。
このケースの場合、「特定建設業」の専任技術者(専技)の要件を満たしている一級建築施工管理技士の乙さんから「特定建設業」の専任技術者(専技)の要件を満たしていない二級建築施工管理技士(仕上げ)の丙さんには変更できません。
乙さんから丙さんへの専任技術者(専技)の変更は、あくまでも「一般建設業」の許可日以降となるのです。
専任技術者の変更を行う際に特に深刻なケースについて
では、般・特(特・般)新規申請の時点で、既に専任技術者(専技)乙さんがお茶の水内装工事㈱を退職しているようなケースはどうなるのでしょうか。
しかも、乙さん以外にはお茶の水内装工事㈱に「特定建設業」の専任技術者(専技)の要件を満たしている技術者はいないようです。
丙さんの国家資格は二級建築施工管理技士(仕上げ)のため、「特定建設業」の専任技術者(専技)になることはできません。
このケースの場合、お茶の水内装工事㈱は「特定建設業」の専任技術者(専技)を欠いていることになります。
お茶の水内装工事㈱は、一旦、東京都に対して全部廃業届を提出し、改めて二級建築施工管理技士(仕上げ)丙さんを専任技術者(専技)として、「一般建設業」の新規申請を行うことになってしまいます。
このような結果を避けるには、専任技術者(専技)乙さんの退職の前に、➀「特定建設業」を維持するために乙さん以外に一級建築施工管理技士の技術者を採用しておくか、➁乙さんを専任技術者(専技)として「特定建設業」から「一般建設業」へ般・特(特・般)新規申請を行なっておく必要があったのです。
勘違いや、ほんの少しの不注意で、建設業許可を失ってしまうことになります。
「特定建設業」から「一般建設業」への般・特(特・般)新規申請をお考えで、専任技術者(専技)の変更も検討されている建設業者様は、慎重な事前準備を必要としています。
弊事務所では、東京都の建設業許可に関する申請書や変更届について、ご多忙な建設業者様に代わって、申請書や変更届の作成と提出を行っています。
般・特(特・般)新規申請を含め東京都の建設業許可申請や変更届でお悩みの建設業者様は、弊事務所までお気軽にご相談ください。