<確認資料3つの要素>
- 申請日現在での常勤性を確認できる資料
- 申請日現在で常勤役員等や直接補佐者の地位にあることを示す資料
- 経営等の経験について確認できる資料
東京都の建設業許可を取得・維持するための要件として「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」を備えていることを挙げられます。
そして、「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」を満足させる方法は大きく2つのケースになります。
ひとつは「建設業に関して一定の経験のある者」として該当者(常勤役員等)を1名置くケースです(イ該当)。
もうひとつは「建設業に関して一定の経験のある者」として該当者(常勤役員等と常勤役員の直接補佐者)を複数名置くケースです(ロ該当)。
前者は個人を経営業務の管理責任者(経管)とするケースと言え、後者は組織としての経営経験に基づいてあたかも組織を経営業務の管理責任者(経管)とするケースと言えます。
この「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」に関する要件こそが、令和2年10月1日の建設業許可の要件に関連する建設業法と建設業法施行規則等の大きな改正点となっています。
これらの詳細は「ここが変わった!東京都の建設業許可の経管要件【経営業務の管理を適正に行うに足りる能力・序・破・Q】」でご説明しております。
内容をお忘れになった建設業者様は、もう一度「ここが変わった!東京都の建設業許可の経管要件【経営業務の管理を適正に行うに足りる能力・序・破・Q】」を読み直してください。
本記事「ここが変わった!東京都の建設業許可の経管要件【シン・経営業務の管理を適正に行うに足りる能力】」では、常勤役員等と常勤役員を直接補佐する者(直接補佐者)の代表的な確認資料について詳しくご説明していきます。
常勤役員等と常勤役員等の直接補佐者の代表的な確認資料
常勤役員等や常勤役員等の直接補佐者を置く場合、その全員について大きく3つの確認資料を必要とします。
先ずは、その3つの確認資料の要素を確認してみましょう。
<確認資料3つの要素>
- ① 申請日現在での常勤性を確認できる資料
- ② 申請日現在で常勤役員等や直接補佐者の地位にあることを示す資料
- ③ 経営等の経験について確認できる資料
これでは、どのような確認資料を必要とするのか良くわかりません。
具体的に確認資料を詳しく見ていくことにします。
ここからは主に、東京都知事許可を取得・維持されたい法人様を前提にご準備いただく確認資料についてご説明します。
① 申請日現在での常勤性を確認できる資料
1 法人様の場合、申請日時点での常勤役員等や常勤役員等の直接補佐者の常勤性を確認する資料として、健康保険被保険者証等の写を必要とします。
(1) この健康保険被保険者証等の写で、常勤役員等や常勤役員等の直接補佐者の氏名・生年月日・事業所名について確認されます。
(2) ただし、健康保険被保険者証等に事業所名の印字のない場合、健康保険被保険者証等の写に加えて、追加資料の準備も必要となります。
(3) 代表的な追加資料として、例えば、健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書や住民税特別徴収税額通知書(徴収義務者用)の写を挙げられます。
ここで言う健康保険被保険者証等の写とは、マイナ保険証(表面)・資格確認書・有効期限内の既存の健康保険被保険者証の写を言います。
② 申請日現在で常勤役員等や直接補佐者の地位にあることを示す資料
<常勤役員等の地位にあることの確認資料>
常勤役員等に当たるのは、建設業許可の申請日時点において、法人様にあっては取締役または権限を委譲された執行役員になります。
1 常勤役員等が取締役である場合、役員であることを示す履歴事項全部証明書(発行日3か月以内)を必要とします。
2 常勤役員等が執行役員である場合、建設業に関し権限移譲を受けた執行役員であることを示す資料を必要とします。
3 2の代表的な確認資料として、取締役会の議事録や組織図等を準備することになります。
<常勤役員等の直接補佐者の地位にあることの確認資料>
常勤役員等の直接補佐者に当たるのは、建設業許可の申請日時点において、法人様の常勤役員等(経営業務の管理責任者(ロ該当))に直属の者となります。
1 常勤役員等の直接補佐者については、法人様の組織図等を必要とします。
③ 経営等の経験について確認できる資料
建設業の経営経験やその補助経験、業務経験については、それぞれ必要となる期間分の経験年数を積み重ねていることを証明しなければなりません(③-1 過去の経験年数を証明)。
更に、その期間の経験が建設業に関する経験である場合、その期間において、建設業の経営業務を管理していたこと等も証明しなければなりません(③-2 建設業を経営していた証明)。
③-1 過去の経験年数の確認資料
<常勤勤役員等を1名置く場合(イ該当)>
1 イ(1)取締役として5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者を1名置く場合、建設業に関し5年以上役員であったことを示す登記事項全部証明書を準備します。
2 イ(2)準ずる地位(執行役員)として5年以上経営業務の管理経験者としての経験を有する者の場合、建設業に関し5年以上、権限移譲を受けた執行役員であったことを示す資料として、組織図・取締役会の議事録・業務分掌規程・人事発令書等を準備します。
3 イ(3)準ずる地位として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者の場合、建設業に関し6年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあったことを示す資料として、個人事業主の補助経験では使用者の確定申告書(第1表、第2表、青色申告決算書等)・決裁文書、稟議書を準備します。
<常勤役員等と常勤役員の直接補佐者を複数名置く場合>
■建設業のみの経営経験の常勤役員等(ロ(1))
1 常勤役員等として建設業に関し2年以上、役員または権限を委任された執行役員であったことを示す資料として(1)または(2)を準備します。
(1) 建設業に関し2年以上役員であったことを示す履歴事項全部証明書を準備します。
(2) 建設業に関し2年以上、権限移譲を受けた執行役員であったことを示す資料として、組織図・取締役会の議事録・業務分掌規程・人事発令書等を準備します。
2 1の証明期間と合わせて5年以上建設業に関して役員または役員等に次ぐ職制上の地位(財務・労務・業務のいずれか)にあったことを示す資料として、組織図・業務文書規程・決裁文書、稟議書・取締役会の議事録・人事発令書等を準備します。
■建設業とその他の業界の経営経験の常勤役員等(ロ(2))
1 常勤役員等として建設業に関し2年以上、その期間と合わせて5年以上役員または権限を委任された執行役員であったことを示す資料として(1)または(2)を準備します。
(1) 建設業に関し2年以上、その期間を含め5年以上役員であったことを示す履歴事項全部証明書を準備します。
(2) 建設業に関し2年以上、その期間を含め5年以上権限移譲を受けた執行役員であったことを示す資料として、組織図・取締役会の議事録・業務分掌規程・人事発令書等を準備します。
■直接補佐者
ロ(1)とロ(2)のいずれの常勤役員等についても、常勤役員等を直接補佐する者(直接補佐者)を置かなければなりません。
そして、その常勤役員等を直接補佐する者(直接補佐者)の業務経験を個別に証明する必要もあります。
また、この常勤役員等を直接補佐する者(直接補佐者)の業務経験は申請者における業務経験に限定されています。
この点は特に注意を必要としています。
1 建設業に関し5年以上、建設業許可の申請会社において、財務管理・労務管理・業務管理に携わる部署に在籍し、業務経験を積んだことを示す資料として、業務分掌規程・決裁文書、稟議書・人事発令書・健康保険被保険等を準備します。
③-2 証明期間において、建設業を経営していたことを確認する資料
③-1の期間において、証明者において実際に建設業の経営または補佐をしていたことを確認する資料を準備します。
<証明期間において、建設業許可を有していた場合>
・建設業許可を申請する法人様の建設業許可通知書または受付印の押印された建設業許可申請書・変更届・廃業届等の写を準備します。
<証明期間において、建設業許可を有していない場合>
・建設業許可を申請する法人様の期間通年分の建設業に関する工事請負契約書・工事請書・注文書・請求書+入金確認(通帳等)等の写を準備します。
以上のように経営等の経験については「過去の経験年数の確認書類(③-1)」と「証明期間において建設業を経営していたことを証明する資料(③-2)」によって確認されます。
ここが変わった!東京都の建設業許可の経管要件【シン・経営業務の管理を適正に行うに足りる能力】(まとめ)
本記事では「ここが変わった!東京都の建設業許可の経管要件【シン・経営業務の管理を適正に行うに足りる能力】」では、常勤役員等と常勤役員を直接補佐する者(直接補佐者)の代表的な確認資料について詳しくご説明しております。
また、常勤役員等と常勤役員を直接補佐する者(直接補佐者)に必要とされる確認資料を3つの要素にわけて具体的にご説明しております。
<確認資料3つの要素>
- 申請日時点での常勤性を確認できる資料
- 申請日現在で常勤役員等や直接補佐者の地位にあることを示す資料
- 経営等の経験について確認できる資料
常勤役員等と常勤役員を直接補佐する者(直接補佐者)の3つ要素の確認書類について、具体的な詳細内容を思い出せない建設業者様は、本記事をもう一度お読み頂ければと思います。
「ここが変わった!東京都の建設業許可の経管要件【経営業務の管理を適正に行うに足りる能力】」シリーズでは、令和2年10月1日の建設業許可の許可要件に関連する建設業法と建設業法施工規則の改正の中で、経営業務の管理責任者(経管)の許可基準の変更点について焦点を当てております。
本記事が東京都の建設業許可を取得・維持されたい建設業者様の参考になれば大変うれしく思っております。
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