- 社会保険に加入していないと建設業許可の新規申請はできないの
- 社会保険に未加入だけど、建設業許可の更新申請はできるよね・・・
- うちはどんな社会保険に加入しないといけないの・・・
東京都の建設業許可を新規に取得したり、維持したりするためには許可要件の全てを満たしていなければなりません。
「そんなことはわかっている」と東京都の建設業の許可業者様の声が聞こえてきそうです。
では、東京都の建設業許可を新規に取得したり、維持したりするために必要となる許可要件を全て挙げてみてください。
『経営業務の管理を適正に行うに足りる能力』に関する要件
『専任技術者(専技)』に関する要件
『財産的基礎等』に関する要件
『誠実性』に関する要件
『欠格要件等』に該当しないこと
そして、最後に『営業所』の要件
「う~ん、惜しい、とっても惜しい」ですね。
令和2年10月1日の建設業法改正に伴う「適正な社会保険への加入」について
実は、東京都の建設業許可を新規に取得したり、維持したりするためにはもうひとつ大切な建設業許可の要件を挙げられます。
令和2年10月1日の建設業法の改正によって、建設業者様が「適切な社会保険に加入していること」が建設業許可の許可要件に加わっています。
それに伴って、東京都においても令和2年10月1日以降の建設業許可の申請については、建設業者様が「適切な社会保険に加入していること」を確認できない場合、建設業の許可を取得できなくなっています。
ここで注意すべきことは、この令和2年10月1日以降の申請には建設業許可の新規申請だけではなく、更新申請も含まれていることです。
従って、令和2年9月30日以前に建設業許可を取得されている未加入業者様は、令和2年10月1日以降の更新申請において「適切な社会保険に加入していること」を確認できない場合、他の許可要件を全て満たしていても建設業許可を更新することはできません。
ちなみに法人の建設業者様は、東京都の建設業許可の有無に関係なく、原則として、健康保険と厚生年金保険については加入しなければなりません(加入業務)。
社会保険等の加入義務について
では、東京都の建設業者様は、事業形態の違いによって、どのような社会保険等に加入していないといけないのか、少し復習してみましょう。
健康保険・厚生年金保険について
- 健康保険・厚生年金保険については、法人は原則適用事業所となります。
- 個人事業主については、家族従業員を除いて従業員が5人以上の場合、健康保険、厚生年金保険について原則適用事業所となります。
※健康保険については、適用事業所であっても、事業主が健康保険適用除外承認を申請し、年金事務所が承認した場合、適用除外承認を受けられます。
雇用保険について
- 1人でも労働者を雇っている場合、法人、個人事業主にかかわらず雇用保険の適用事業所となります。
- 法人の役員、個人事業主、同居の家族のみで構成される事業所の場合、雇用保険は原則適用除外となります。
東京都の建設業者様は、ご自身がどのような社会保険等に加入しなければならないか、これで確認できましたね。
さて、次は、実際の東京都の建設業許可の申請や届出との関係をご説明します。
様式7号の3「健康保険等の加入状況」について
以前より「健康保険等の加入状況」については、東京都の建設業許可の申請や届出の中に入っています。
ただ、この「健康保険等の加入状況」については、令和2年10月1日以降、社会保険の加入が建設業の許可要件とされたことにより、様式番号と記載方法が変更されています。
従って、これから東京都の建設業許可を新規に取得されたい建設業者様も、既に東京都の建設業許可をお持ちの建設業者様も少し注意を必要とします。
先ずは、様式番号は新たに「様式第7号の3」と変更になっています。
そして、「様式第7号の3」への記載方法も建設業者様の健康保険等の加入状況に応じて、次のように変更されています。
<保険の加入状況>
- 適用事業所・適用事業の届出を行っている場合・・・1
- 適用が除外される場合 ・・・2
- 一括適用の承認に係る事業所 ・・・3
特に注意すべきは、令和2年10月1日以降は、社会保険の加入が建設業許可の要件になっているため、未加入の番号はなくなっています(従前の番号は2)。
そして、仮に、建設業者様の社会保険の加入状況に変更を生じた場合には、2週間以内に「様式第7号の3」の届出書を東京都に提出しなければなりません。
この社会保険の加入状況に変更を生じた場合とは、東京都では、<保険の加入状況>の番号の変更を想定しています。
令和2年10月1日以降、東京都の建設業許可の許可要件に関する届出の種類が一つ増えているということになります。
ここで少し紛らわしい変更があります。
例えば、建設業者様の従業員の入退社があった場合、その都度、2週間以内に東京都に「様式第7号の3」の届出書を提出しなければならないのでしょうか。
「そんなことはありません」
建設業者様の社会保険の加入状況の変更内容が従業員の人数のみであった場合、事業年度終了後4ヶ月以内に、東京都への決算変更届と合わせて「様式第7号の3」の届出書を東京都に提出すれば良いとなっています。
「良かったですね」
社会保険等の加入状況についての確認書類
では、最後に、東京都は建設業者様の社会保険等の加入状況を確認するため、どのような資料をチェックしているのでしょうか。
建設業者様が東京都に提出する確認資料を具体的にご説明します。
健康保険・厚生年金保険の確認資料
建設業者様は、健康保険の加入状況によって、事業所整理番号・事業所番号を確認できる次のいずれかの資料の写を東京都に提出することになります。
<健康保険(全国健康保険協会)に加入の場合>
- 納入告知書納付書・領収証書の写※1
- 保険納入告知額・領収済通知書の写※2
- 社会保険料納入確認(申請)書(受付印あり)の写※3
<組合管掌健康保険に加入の場合>
- (健康保険について)健康保険組合発行の保険料領収書の写
- (厚生年金保険について)※1~3のいずれか
<国民健康保険に加入の場合>
- (厚生年金保険について)※1~3のいずれか
雇用保険の確認書類
また、建設業者様は、雇用保険の労働保険番号を確認できる次のいずれかの資料の写を東京都に提出することになります。
- 「労働保険概算・確定保険料申告書」と「領収済通知書」の写
- 「労働保険料等納入通知書」と「領収済通知書」の写
東京都の建設業者様は、これらの確認資料を揃えて、東京都に「様式第7号の3」の提出を行うことになります。
東京都の建設業許可を取得されたい、維持されたい建設業者様へ
<新様式「健康保険等の加入状況について」(まとめ)>
- 「健康保険等の加入状況」は、社会保険の加入が建設業の許可要件とされたため取り扱いに変更があります。
- 建設業許可の新規・更新申請をお考えの建設業者は特に注意を必要とします(適切な社会保険等に加入)。
- 様式番号も「様式第7号の3」となり、建設業者様の健康保険等の加入状況に応じて記載・提出方法も変更されています。
弊事務所では、東京都の建設業許可を新規に取得されたい建設業者様や建設業許可を維持されたい建設業者様を積極的にサポートしております。
東京都の建設業許可申請や変更届でお悩みの建設業者様は、弊事務所までお気軽にお声掛けください。