- 営業所を他県に移動したら、建設業許可はどうなるの
- 許可換え新規申請をしたら、経営事項審査も必ず受け直しなの・・・
- 許可換え新規申請をしても、経営事項審査の結果は継続できるの・・・
建設業許可を取得されている建設業者様は、事業環境の変化等によって、建設業の営業所を移動されたり、新設されたり、廃止されたりします。
そして、営業所を移動、新設、廃止されることによって、営業所の所在地が一つの都道府県内になったり、複数の都道府県にまたがったりすることになります。
その営業所の所在地の状況によっては、建設業者様は、従前の建設業許可から新しい建設業許可に許可換えしなければならないケースも当然出てきます。
許可換え新規申請について
- ① 神奈川県にあった営業所を東京都に移動
- ② 東京都の営業所に加えて千葉県にも営業所を新設
- ③ 東京都と埼玉県にあった営業所のうち埼玉県の営業所を廃止
例えば、① 神奈川県にあった営業所を東京都に移動、② 東京都の営業所に加えて千葉県にも営業所を新設、③ 東京都と埼玉県にあった営業所のうち埼玉県の営業所を廃止の3つのケースを考えてみましょう。
これら①~③ケースにおいて、建設業者様は具体的にどのように建設業許可を許可換えしなければならないのでしょうか。
建設業者様、少し考えてください。
「・・・」
わかりましたよね、答えは、次の通りになります。
- ①の答え、神奈川県知事許可から東京都知事許可へ
- ②の答え、東京都知事許可から国土交通大臣許可へ
- ③の答え、国土交通大臣許可から東京都知事許可へ
①の答えは神奈川県知事許可から東京都知事許可へ、②の答えは東京都知事許可から国土交通大臣許可へ、③に答えは国土交通大臣許可から東京都知事許可へ、となります。
これら①~③の建設業許可の申請を「許可換え新規申請」と言っています。
「許可換え新規申請」は、従前の建設業許可と新たな建設業許可の切れ目を生じさせない許可申請となっています。
そのため、東京都では「許可換え新規申請」を行う際は、従前の建設業許可の有効期間の満了する30日前までに「許可換え新規申請」を行わなければなりません。
また、東京都の場合には「許可換え新規申請」は基本的に営業所移転後30日以内に許可申請を行う必要もあります。
従って、営業所移転後30日以内に許可申請を行えない場合、従前の許可行政庁に建設業許可の廃業届を提出してから、東京都の建設業許可の新規申請となってしまいます。
許可換え新規申請と経営事項審査の関係
ここまでは「許可換え新規申請」についてのご説明となります。
ここから本記事の本題となる「許可換え新規申請と経営事項審査(経審)の関係」のご説明に移ります。
仮に「許可換え新規申請」をしなければならない建設業者様が「経営事項審査(経審)」の受審業者の場合、「許可換え新規申請」と「経営事項審査(経審)」との関係はどうなるのでしょうか。
「経営事項審査(経審)」は「公共工事等の入札に参加したい、受注したい」とお考えの建設業者様が、必要となる建設業許可を取得した上で、許可行政庁に対して審査申請するものです。
「許可換え新規申請」を行って新たな行政庁から建設業許可を取得した場合、それまでの「経営事項審査(経審)」の前提となっていた建設業許可の許可行政庁と許可行政庁は異なる行政庁となってしまいます。
建設業者様は「許可換え新規申請」によって新たな行政庁から建設業許可を取得した場合、新たな行政庁に対して改めて「経営事項審査(経審)」の申請をしなければならないのでしょうか。
「国土交通大臣許可から東京都知事許可へ」の「許可換え新規申請」について、事例を挙げて具体的に考えていきます。
国土交通大臣許可から東京都知事許可の許可換え新規申請と経営事項審査
<事例>
- A建設株式会社
- 主たる営業所は東京都千代田区、従たる営業所は千葉県千葉市
- 現在、国土交通大臣許可(一般)(管)の許可業者
- 決算期は3月末
- 国土交通大臣(関東地方整備局長)の「経営事項審査(経審)」を毎年受審
- この度、千葉県千葉市にある従たる営業所を廃止
- それを受け、東京都知事許可(一般)(管)に「許可換え新規申請」予定
- ただし、公共工事の受注もあり「経営事項審査(経審)」は継続希望
この事例については、「許可換え新規申請」と「経営事項審査(経審)」を行う時期によって必要となる対応は変わってきます。
<許可換え新規申請と経営事項審査を行う時期>
- 直近の確定決算について、国土交通大臣(関東地方整備局長)の「経営事項審査(経審)」の結果通知書を受けた後で東京都への「許可換え新規申請」を行った場合
- 直近の確定決算について、国土交通大臣(関東整備局長)の「経営事項審査(経審)」の結果通知書を受ける前に東京都への「許可換え新規申請」を行った場合
1の場合、改めて東京都の「経営事項審査(経審)」の審査を受ける必要はありません。
2の場合、国土交通大臣(関東地方整備局長)の「経営事項審査(経審)」の結果通知書を受ける前に東京都への「許可換え新規申請」を行っているため、東京都の「経営事項審査(経審)」を受けなければなりません。
許可換え新規申請と経営事項審査(経審)の関係を事例で確認
上記の<許可換え新規申請と経営事項審査を行う時期>の1と2について、A建設株式会社の事例を当てはめて確認していきます。
<1の場合>
先ずは、A建設株式会社様は、令和7年3月末の決算確定後、直ちに国土交通大臣(関東地方整備局長)の「経営事項審査(経審)」を受審し、既に国土交通大臣(関東地方整備局長)の経営事項審査結果通知書(P点)を得ていたとします。
その後で、A建設株式会社様は、千葉県千葉市にある従たる営業所を廃止し、東京都に「許可換え新規申請」を行い、問題なく東京都の建設業許可を受けていたとします。
この場合には、A建設株式会社様は改めて令和7年3月末基準日の東京都の「経営事項審査(経審)」を受ける必要はありません。
<2の場合>
次に、A建設株式会社は、国土交通大臣(関東地方整備局長)の「経営事項審査(経審)」の結果通知書を受ける前に、千葉県千葉市にある従たる営業所を廃止し、東京都の「許可換え新規申請」を行い、東京都の建設業許可を受けていたとします。
この場合、A建設株式会社様は既に東京都知事許可の許可業者となっています。
つまり、この時点で国土交通大臣(関東整備局長)は国土交通大臣許可業者ではないA建設株式会社様に「経営事項審査(経審)」の結果通知書を発行することはできなくなっています。
従って、A建設株式会社様は、令和7年3月末基準日の東京都の「経営事項審査(経審)」を受審することになります。
許可換え新規申請と経営事項審査の関係(東京都の場合)(まとめ)
本記事では「許可換え新規申請」と「経営事項審査(経審)」との関係について、「国土交通大臣許可から東京都知事許可へ」の「許可換え新規申請」を事例を使って具体的に確認しております。
「許可換え新規申請」を行って新たな行政庁から建設業許可を取得した場合、それまでの「経営事項審査(経審)」の前提となっていた建設業許可の許可行政庁と許可行政庁は異なる行政庁となります。
そのため「許可換え新規申請」と「経営事項審査(経審)」を行う時期によって必要となる対応は同じではありません。
建設業者様には、営業所の移動・新設・廃止による「許可換え新規申請」の時期と「経営事項審査(経審)」の基準日・結果通知書を受ける時期の関係を慎重に事前検討していただく必要もあります。
弊事務所では、東京都への「許可換え新規申請」、東京都の「経営事項審査(経審)」をお受けになりたいとお考えの建設業者様の申請を積極的にサポート(代行)しております。
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