専任技術者(専技)の交代と一部廃業(東京都の場合)

  • 専任技術者が退職したけど、東京都の建設業許可は何も変わらないよね
  • 専任技術者が退職したら、東京都に変更手続をしないといけないの・・・
  • 専任技術者が退職したら、東京都に廃業届を出さないといけないの・・・

東京都の建設業許可の重要な許可要件の一つとして、専任技術者(専技)を営業所ごとに常勤させるという許可要件を挙げられます。

従って、専任技術者(専技)が退職し、全く会社にいらっしゃらなくなった場合は、建設会社様は、東京都の建設業許可を維持することはできません。

専任技術者(専技)の交代と一部廃業(東京都の場合)

このような場合には、建設会社様は、東京都に対して廃業届を提出しなければなりません。

この廃業届は、「全部廃業」と言われています。

廃業届「全部廃業」は廃業後30日以内に東京都に届出することになっています。

では、専任技術者(専技)は退職するけど、社内の他の技術者に専任技術者(専技)を交代させる場合はどうなるのでしょうか。

前任の専任技術者(専技)と新任の専任技術者(専技)で同じ工事業種について全て交代させる場合には、専任技術者(専技)の変更届を提出することになります。

それでは、前任の専任技術者(専技)と新任の専任技術者(専技)とで担当できる工事業種に違いがあるケースではどうなるのでしょうか。

特に、前任の専任技術者(専技)の工事業種が多種にわたり、新任の専任技術者(専技)の担当できる工事業種が少ない場合はどうすれば良いのでしょうか。

やはり、新任の専任技術者(専技)で担当できない工事業種については、東京都に対して専任技術者(専技)の変更届以外に他の手続をしなければならないのでしょうか。

例えば、新任の専任技術者(専技)で担当できない工事業種については、専任技術者(専技)はいないことになるため廃業届を提出するのでしょうか。

本記事では、複雑で難しい専任技術者(専技)の交代と廃業の手続きについて、代表的な事例を使って、わかりやすくご説明いたします。

専任技術者(専技)の交代と一部廃業(事例)

  • 建設会社様は30年来リフォーム工事を営業、東京都許可を取得し15年経過
  • 営業所は、千代田区の本店のみ
  • 許可を持っている工事業種は、(建)(大)(屋)(タ)(内)の5業種
  • 専任技術者(専技)は二級建築士、従って、全工事業種とも一般建設業
  • この専任技術者(専技)が急遽地元に帰るため退職。
  • 建設会社様は、急いで社内で専任技術者(専技)の候補者を選考
  • 入社13年目の技術者を新任の専任技術者(専技)の候補者に
  • 但し、国家資格者ではなく(内)10年実務経験での証明を予定
  • 社内に、他に国家資格者や10年以上勤務している技術者はなし

この建設会社様は、専任技術者(専技)の交代について東京都に変更届を提出しなければなりません。

具体的には、変更届書や専任技術者一覧表に加えて、専任技術者(専技)についての専任技術者証明書を準備する必要があります。

この専任技術者証明書については、前任の専任技術者(専技)は、「専任技術者の交替に伴う削除」という届出区分になります。

他方、新任の専任技術者(専技)については、「専任技術者の追加」という届出区分になります。

次に、新任の専任技術者(専技)についての(内)実務経証明書を作成します。

10年以上の(内)の実務経験を具体的に記載していきます。

なお、この建設会社様は、(内)の建設業許可を15年持たれているため(内)の工事請負契約書、注文書・注文請書、請求書・入金確認(通帳)等の確認資料は必要ありません。

ここで大きな注意点があります。

この専任技術者(専技)の交代が認められるには、前任の専任技術者(専技)と新任の専任技術者(専技)の就任に時間的な空白があってはならないのです。

この建設会社様の場合、前任の専任技術者(専技)が退職される時点で、新任の専任技術者(専技)も会社に在籍しておられるので交代に問題はありません。

なお、専任技術者(専技)の常勤性と継続性の証明は、新任の専任技術者(専技)の健康保険被保険者証(資格取得日)、前任の専任技術者(専技)の健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届の写等で確認されています。

これでこの建設会社様は、(内)については新任の専任技術者(専技)を置くことになります。

他方、それ以外の(建)(大)(屋)(タ)については専任技術者(専技)を欠くことになります。

従って、建設会社様は、東京都に(建)(大)(屋)(タ)については廃業届を提出する必要もあります。

この場合、(内)については引き続き建設業許可を維持しているので、「全部廃業」ではなく「一部廃業」となります。

建設業者様の営業しようとする建設業には(内)のみが残ることになります。

必要となる書面等(事例の場合)

この事例において必要となる書面等は次の通りとなります

東京都の場合、別綴じ用紙や入力用紙も必要になりますので、お忘れにならないようにお気を付けください。

<専任技術者の交代(削除・追加)>

  • 様式二十二号の二変更届出書(第一面)
  • 別紙四 専任技術者一覧表(新任者)
  • 様式第8号 専任技術者証明書(前任者)
  • 様式第8号 専任技術者証明書(新任者)
  • 様式第9号 実務経験証明書(新任者)
  • 健康保険被保険者証(表面、事業者名の印字あるもの)の写(新任者)
  • 健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届の写(前任者)

<一部廃業>

  • 二十二号の四届出書
  • 二十二号の二変更届出書(第二面)
  • 届出者についての確認資料(代表印の印鑑証明書等)

専任技術者(専技)の交代と一部廃業(まとめ)

本記事では、複雑で難しい専任技術者(専技)の交代と一部廃業の手続きについて、代表的な事例を使って、わかりやすくご説明してきました。

ただし、専任技術者(専技)の担当する業種の状況によっては、今回ご説明したものとは異なる様式や資料を準備する必要もあります。

東京都のHPや「東京都の建設業許可申請・変更の手引」等を熟読して、作成する様式や必要とする確認資料を間違わないようにしてください。

それでも手続がよくわからない、書面を作る時間がないという建設会社様は、お気軽に弊事務所にご相談ください。

弊事務所では、東京都の建設業許可でお悩みの建設会社様のお手続を積極的にサポートしております。

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