「使用人数」と「健康保険等の加入状況(人数)」の基準日・内訳変更・出向者の取扱い
- 「使用人数」って、いつ時点の使用人数を記載するの
- 「使用人数」には、出向者の人数を含めて良いのかな・・・
- 「健康保険等の加入状況」の従業員人数に、出向者は含まれるの・・・
東京都の建設業許可申請書の中に、「使用人数(様式4号)」や「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」と言った書面を見つけられます。
また、建設業者様が毎事業年度終了後に提出する決算変更届においても、建設業者様の人数に変更のある場合には「使用人数(様式4号)」や「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」を提出しなければなりません。
建設業者様の中には、「使用人数(様式4号)」や「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」について、余り意識されていない方も沢山いらっしゃいます。
本記事では、普段は余り意識されることのない「使用人数(様式4号)」と「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」の人数の考え方について、特に迷いやすい事例を取り上げてご説明したいと思います。
いつ時点の人数を記載するの
「使用人数(様式第4号)」について
建設業許可の各種申請書において「使用人数(様式第4号)」を提出する場合、いつ時点の人数を記載しなければならないのでしょうか。
これについては悩まれる建設業者様はいらっしゃらないかと思います。
こちらの人数は、建設業許可の各種申請時(≒書面作成時)の人数を記載いただくことになります。
それでは、決算変更届と合わせて「使用人数(様式4号)」を提出する場合は、どうなるのでしょうか。
少し、考えてください。
「・・・。」
おわかりですね、こちらの「使用人数(様式4号)については建設業者様の決算日における人数を記載していただくことになります。
建設業許可の各種申請書とは異なり、決算変更届の提出時(≒書面作成時)の人数とはなりません。
例えば、令和7年3月31日を決算日とされる建設業者様は、決算変更届を令和7年7月31日に提出したとしても、「使用人数(様式4号)」の人数記載の年月日は令和7年3月31日となります。
「健康保険等の加入状況(様式第7号の3)」について
それでは、「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」の従業員人数は、どのように考えればよいのでしょうか。
「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」も「使用人数(様式4号)」と同じように、記載する人数の基準日が決まっているのでしょうか。
こちらも少し考えてください。
「・・・。」
どうでしょうか?
東京都の場合、以前は「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」の従業員人数については、決算変更届の提出日時点の人数を記載する運用となっておりました。
現在の東京都の運用では「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」の従業員人数についても、「使用人数(様式4号)」と同様の決算日時点の人数を記載することになっております(令和5年度手引より運用変更)。
合計人数は変わらないけど、内訳は変わる場合も提出するの
「使用人数(様式4号)」について
「使用人数(様式4号)」は、技術関係使用人の2つのカテゴリーと事務関係使用人の1つのカテゴリーを合算して合計人数を記載することになっています。
この合計人数には変更はないが、各カテゴリーの内訳に変更のある場合、決算変更届に合わせて「使用人数(様式4号)」も提出しなければならないのでしょうか。
ちなみに東京都の建設業許可申請・変更の手引には「※変更がある場合のみ」と記載されています。
さぁ、考えてください。
「・・・。」
どうです、わかりましたか。
答えは「提出する必要はある」です。
建設業者様は、合計人数は変わらないので「使用人数(様式4号)」は提出しないでも良いと思わないでください。
忘れずに決算変更届と合わせて「使用人数(様式第4号)」を東京都に提出するようにしてください。
「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」について
「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」は、常勤の従業員の数と常勤の役員(除く、監査役)の人数を記載しております。
尚、常勤の役員は、常勤の従業員の内数となっています。
こちらも従業員の総数は変わらないが、内数である常勤の役員の人数が変わった場合、決算変更届に合わせて「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」も提出しなければならないのでしょうか。
東京都の建設業許可申請・変更の手引には、「※既に提出内容から人数に変更がある場合のみ」と記載されています。
う~ん、どうでしょうか。
こちらについても「提出する必要はある」となります。
実は、この扱いについては弊事務所でも判断に迷うことがあり、東京都に確認したところ「提出する必要あり」との回答を得ています。
建設業者様も「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」の提出を忘れないように気を付けてください。
出向者のいる場合、出向者の人数は含まれるの
「使用人数(様式4号)」について
建設業者様の場合、関連会社からの出向者が建設業者様に勤務されている場合も多くあります。
在籍出向者の場合、この従業員の在籍は出向元の関連会社に残ったままとなっています。
でも、建設業者様の他の常勤の従業員と同じように建設業者様の事務所に毎日勤務されています。
この関連会社からの出向者は、「使用人数(様式4号)」に記載しなければならない使用人になるのでしょうか。
どう思いますか。
「・・・。」
この関連会社からの出向者は、建設業者様の「使用人数(様式4号)」に記載しなければならない使用人となります。
「え~っ」と思われる建設業者様もいらっしゃるかもしれません。
でも、こう考えてみたら理解しやすいかと思います。
例えば、この関連会社からの出向者が建設業者様の営業所技術者等(専任技術者(専技))に就任されていたとします。
実は「使用人数(様式4号)」では、建設業者様における営業所医術者等(専任技術者(専技))になることのできる技術者の人数も確認されています。
建設業者様の営業所技術者等(専任技術者(専技))に就任されている関連会社からの出向者は、当然、その人数(=使用人数)に入っていないとおかしくなりますよね。
そんなふうに考えると、今後は間違えることはなくなるかと思います。
「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」について
「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」については関連会社からの出向者の取扱いはどうなるのでしょうか。
関連会社からの出向者とは言え、建設業者様に毎日勤務しているのですから、常勤の従業員人数に含めてもよいのでしょうか。
「・・・。」
こちらは比較的わかりやすいかと思います。
「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」については、関連会社からの出向者の人数は従業員人数に含めません。
理由はわかりますか。
そう、関連会社からの出向者は、出向元の関係会社に在籍したままです。
従って、関連会社からの出向者は健康保険等の3保険については出向元(=関連会社)で加入していることになります。
そのため、出向先の建設業者様の「健康保険等の加入状況(様式7号の3)」の従業員人数には含まれないことになります。
「使用人数」と「健康保険等の加入状況(人数)」の基準日・内訳変更・出向者の取扱い(東京都の場合)まとめ
- 「使用人数」って、いつ時点の使用人数を記載するの
- 「使用人数」には、出向者の人数を含めて良いのかな・・・
- 「健康保険等の加入状況」の従業員人数に、出向者は含まれるの・・・
本記事では、普段余り意識されることのない「使用人数(様式第4号)」と「健康保険等の加入状況(様式第7号の3)」の人数の考え方について、迷いやすい事例を取り上げてご説明しています。
これら事例の他にも建設業許可の申請書や変更届には、建設業者様にとって間違いやすくわかりにくい事項は沢山あります。
弊事務所では、建設業の営業や工事現場の施工でお忙しい建設業者様に代わって、東京都の建設業許可の申請書や変更届の作成・提出代行を承っております。
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